模造拳銃

模造拳銃について

模造拳銃とは、金属で作られた拳銃の模造品で、外観が本物の拳銃と非常に似ているため、銃刀法によって所持が禁止されているものを指します。これらの模造拳銃は、過去に犯罪に悪用された事例があり、社会的な問題となったことから、規制の対象となりました。

模造拳銃 規制の概要

1960年代後半から、精巧な金属製モデルガンが普及し始めました。しかし、これらが強盗や脅迫などの犯罪に悪用されるケースが増加したため、1971年に銃刀法が改正され、模造拳銃に対する規制が導入されました。

この規制により、金属製の拳銃模造品は、真正拳銃との識別を容易にするための措置が義務付けられました。具体的には、以下の2点が挙げられます。

1. 銃口から薬室までの内部（銃腔）を金属で完全に塞ぐこと
2. グリップ部分を除いた表面全体を白色または黄色に着色すること

これらの措置が施されていない金属製の拳銃模造品は、模造拳銃とみなされ、所持が禁止されました。この規制は、すでに販売されていた金属製モデルガンにも適用されたため、所有者は、これらの措置を施すか、廃棄するかの選択を迫られました。

規制の例外

輸出を目的とした模造拳銃の製造や輸出業者は、所轄の都道府県公安[[委員会]]に届け出ることにより、業務上の所持が認められます。

模造拳銃の該当要件

銃刀法第22条の2第1項では、以下の2つの要件を満たすものを模造拳銃と定義しています。

1. 金属製であること

ここでいう金属とは、鉄、銅、亜[[鉛]]、アルミニウムなどの合金を指します。したがって、プラスチックや木製などの非金属製のものは、模造拳銃には該当しません。また、金属と非金属の組み合わせについては、外観上の判断が重視されると考えられます。

2. 拳銃に著しく類似した外観を有すること

一般の人が見分けられないほど外観が酷似しているものが対象となります。色、光沢、重量などが総合的に判断されます。著しく大きいもの（オブジェ）や小さいもの（ミニチュア）、明らかに子供向けの玩具などは規制対象外となります。また、小銃や機関銃のような形状のものや古式銃砲も対象外です。

これらの要件を満たすものは、モデルガンやエアソフトガンだけでなく、拳銃型のライターや文鎮なども規制の対象となります。

除外規定

上記の2つの要件を満たしていても、内閣府令で定められた措置（銃腔閉塞と表面着色）が施されたものは、模造拳銃として扱われません。

銃腔の閉塞

銃口から薬室までの内部を金属で完全に塞ぐことで、真正拳銃との識別を容易にします。

表面の着色

グリップ部分を除く表面全体を、白色または黄色に着色することで、真正拳銃との識別を容易にします。メッキによる金色も、この規定において黄色に含まれるとみなされます。ただし、銀色は白色とはみなされないため、経年変化で金色が退色した場合は、再着色の必要があります。

罰則

模造拳銃の所持は銃刀法で禁止されており、違反した場合は20万円以下の罰金が科せられます。

規制の経緯

1960年代、精巧な金属製モデルガンが普及し始め、犯罪に悪用される事件が多発しました。そのため、1969年には、モデルガンに識別標識を付けることや、購入者の身元確認を徹底するなどの行政指導が行われましたが、効果は不十分でした。1970年には、ハイジャック事件にも使用されたため、より強力な規制が求められました。

1971年、銃刀法が改正され、金属製の拳銃模造品に対する規制が導入されました。この改正では、規制対象を金属製に限定し、輸出用は除外されました。また、改正法の施行までに6か月の猶予期間が設けられ、その間に業界団体を通じて所有者に措置の実施や廃棄が周知されました。しかし、当時は大量の模造拳銃が流通しており、規制後の運用に懸念も示されました。

規制後の状況

規制の影響で、金属製モデルガンの出荷数は一時的に減少しましたが、その後、プラスチック製モデルガンが発売され、出荷数は回復しました。しかし、金属製モデルガンの違法改造事犯は増加し、1977年には模擬銃器規制の対象となりました。

近年では、古い金属製モデルガンがネットオークションに出品されることがありますが、これらの銃は模造拳銃規制と模擬銃器規制の両方が適用されるため、注意が必要です。また、海外から玩具銃を輸入する際も、模造拳銃に該当する場合は、法定措置を施さないと通関できません。

エアソフトガン用の金属外装も販売されていますが、拳銃型エアソフトガンの外装を金属製に換装した場合は、模造拳銃の該当要件を満たす可能性があるため、注意が必要です。

まとめ

模造拳銃規制は、金属製モデルガンの犯罪利用を防ぐために導入された重要な法律です。模造拳銃を所持することは法律で禁止されており、違反した場合は罰則が科せられます。模造拳銃に関する規制は複雑であり、注意が必要です。詳細については、関連する法令や情報を確認するようにしてください。

この規制は、玩具銃業界や愛好家にとって大きな影響を与えましたが、社会の安全を守るために必要な措置であると考えられます。