権裕人

権 裕人（こん ゆいん）

1992年4月9日に兵庫県尼崎市で生を受けた権 裕人は、日本のラグビーユニオン界で活躍した元選手である。主にセンター（CTB）のポジションでプレーし、身長183cm、体重95kgという体格を生かした力強いプレーを得意としていた。「ゆいん」という親しみやすいニックネームでチームメイトやファンから呼ばれていた。

競技人生の歩み

権は地元の兵庫県で育ち、ラグビーというスポーツに出会う。高校は大阪府にある大阪朝鮮高校に進学し、ラグビー部で才能を開花させた。高校時代から将来有望な選手として注目を集め、高校日本代表候補にも選ばれるなど、その実力は高校年代のトップレベルで認められていた。この時期に培った技術とフィジカルは、彼のキャリアの礎となった。

高校卒業後は、大学ラグビーの強豪として全国に名を知られる帝京大学へ進学。帝京大学ラグビー部の一員として、厳しいトレーニングとハイレベルな試合経験を積んだ。大学選手権での活躍を通じて選手としてさらに成長を遂げ、国際舞台にも視野を広げたU17日本代表にも選出された経験を持つ。これは、彼のポテンシャルの高さと将来性を示唆するものだった。

2015年に帝京大学を卒業した後、権はトップリーグの有力チームであるパナソニック ワイルドナイツ（現在のチーム名称は埼玉パナソニックワイルドナイツ）に加入した。プロの厳しい世界に飛び込み、強力なライバルたちとの競争の中で自身のポジション獲得を目指した。プロ入り後すぐには公式戦出場の機会は限られていたが、日々の練習に励み、着実に実力を磨き続けた。

プロ選手としてのキャリアにおける大きな転機は、2017年12月17日に訪れた。この日に行われたジャパンラグビートップリーグ2017-2018シーズンの第12節、リコーブラックラムズとの一戦で、権は先発メンバーとして起用され、記念すべき公式戦初出場を果たした。トップリーグの舞台で自身のプレーを披露できたことは、彼の努力が実を結んだ瞬間であり、キャリアの新たな一歩となった。

センター（CTB）は、バックスラインの中央で攻守の要となる重要な役割を担うポジションだ。攻撃においてはラインブレイクやパスワークでチャンスを作り出し、防御においては相手の攻撃の芽を摘むタックルが求められる。権は自身のフィジカルを生かし、こうした局面での貢献を目指した。所属したパナソニック ワイルドナイツは、常に国内トップクラスの成績を残すチームであり、その中でプレーできた経験は彼の選手としての幅を広げた。

学生時代には、多くの優秀な選手たちと共にプレーした。特に大阪朝鮮高校時代の同級生には、金勇輝、金寛泰、梁正秋といった、後にトップレベルで活躍する選手たちの名前が挙がる。また、高校時代から帝京大学まで共に過ごした朴成基も、同じ道を歩んだ仲間だった。こうした同級生との切磋琢磨は、彼の競技力向上に大きな影響を与えたことだろう。

パナソニック ワイルドナイツで数シーズンを過ごした後、権 裕人は2022年をもって現役から引退することを決断した。プロ選手としてラグビーに捧げたキャリアを終え、新たな人生のステージへと進んだ。彼のラグビー人生は、アマチュア時代からプロリーグでの挑戦、そして国際舞台での経験といった、多岐にわたる経験に彩られている。ラグビーを通じて得た経験は、引退後の人生においても彼の大きな財産となるに違いない。彼のこれまでの貢献に感謝し、今後の活躍にも期待を寄せたい。

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