権限移譲式

権限移譲式について

権限移譲式（けんげんいじょうしき、フランス語: investiture du président de la République française）は、フランスの第五共和政で新たに選ばれた大統領が職務を引き継ぐ際に行われる重要な儀式です。この式典は、ただの形式的なものではなく、実際の業務の移行が大きな特徴となっています。

権限移譲式の目的と意義

この式の名称にある「権限移譲」という言葉は、前任の大統領から新たな大統領へ、権限や業務を正式に引き継ぐことを示しています。フランス語の「investiture」は「授与」という意味を持ちますが、特に大統領職の実質的な引き継ぎが強調されているため、単なる任命式以上の意義を持つと言えるでしょう。

儀式の流れ

権限移譲式は主にエリゼ宮で執り行われます。新任の大統領はまず、前大統領と非公開の会談を通じて職務を引き継ぎます。この会談では、国家機密や重要な情報が新大統領に伝達され、さらには核兵器の起動に関する暗号鍵も引き渡されます。これにより、新大統領は直ちに職務を遂行できる状態へと移行します。

次に、大統領宣誓式が行われます。この式典は公開されており、新大統領が公式に誕生することを宣言する場でもあります。エリゼ宮での厳かな祝典の中で、憲法裁判所長官から大統領選挙の結果が読み上げられ、新大統領は自身の就任に関する文書に署名します。この後、新任大統領にはフランスの最高勲章であるレジオンドヌール勲章の最高等級である頸飾が授与され、その権威を象徴します。

最初の演説とパレード

権限移譲式の後、新大統領は初めての演説を行います。これにより、大統領としての名実が明確にされます。式典が終了すると、新大統領はエトワール凱旋門にある無名戦士の墓を訪れ、フランスのために命を捧げた先人への敬意を示します。

その後、パリの市街をパレードします。このパレードでは、伝統的にシトロエン製の車両が使用され、華やかな雰囲気を醸し出します。

新首相の指名

権限移譲式の後、新大統領は新しい首相を指名します。その首相の権限移譲式も、首相府のあるマチニョン館で実施されます。これにより、新政権の形が整い、フランス国内に新たな政治の流れが生まれるのです。

歴史的背景

現在の形式が整えられたのは、1959年に遡ります。この年、第四共和政の最後の大統領であったルネ・コティから、第五共和政初代の大統領シャルル・ド・ゴールへと大統領職が移譲されたのが始まりです。この制度は、フランスの政治の安定性を支える重要な要素として機能し続けています。

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