横山公男

横山公男（よこやま きみお）

横山公男は、1924年5月10日に千葉県船橋市に生まれ、2010年に逝去した日本の建築家です。彼は早稲田大学の理工学部建築学科を卒業し、その後のキャリアにおいて多くの重要な建築プロジェクトに携わりました。

経歴と主な業績

横山は若い頃から日蓮正宗の総本山である大石寺の伽藍設計を手がけることになり、彼のデザインスタイルは寺院建築に深い影響を与えました。特に1964年に完成した大石寺大客殿は、日本建築学会賞を受賞するなど高く評価されました。また、1972年にはその設計の集大成ともいえる正本堂を完成させました。しかし、彼の設計した多くの建物は、平成の初めにかけて取り壊されてしまい、現在境内に残るのは数少ない建物のみとなっています。この中には大講堂などが含まれており、正本堂の解体に関しては、創価学会関係者だけでなく、建築界からも反対の声が上がりました。

横山は1988年に株式会社建築家会館の第三代社長に就任し、2期8年間この役職を務めるなど、建築界において重要な役割を果たしました。その功績が認められ、2008年には日本建築学会の名誉会員に選ばれました。

代表的な作品

横山の作品は主に日蓮正宗系の寺院に集中しており、大石寺系列の建物の設計が多く見られますが、千葉県内や静岡県富士宮市には小学校の設計も行っています。以下に彼の代表的な作品を示します。

• - 大石寺大講堂 - 静岡県富士宮市、1958年（昭和33年）
• - 市川信用金庫本店 - 千葉県市川市、1960年（昭和35年）
• - 大石寺大客殿 - 静岡県富士宮市、1964年（昭和39年）、日本建築学会賞受賞、現在取り壊し済み
• - 護国寺本堂 - 神奈川県鎌倉市、1969年（昭和44年）
• - 大石寺正本堂 - 静岡県富士宮市、1972年（昭和47年）、現在取り壊し済み
• - 富士美術館 - 静岡県富士宮市、1973年（昭和48年）、現在大石寺宝物殿

また、彼は以下のような教育施設や寺院の設計も手がけています。

• - 流山小学校（千葉県流山市）
• - 江戸川台小学校（千葉県流山市）
• - 妙光寺（東京都品川区）
• - 妙静寺本堂（滋賀県高島市）
• - 立正寺（福岡県福岡市中央区）
• - 常泉寺 大本堂（東京都墨田区）
• - 常在寺 本堂（東京都豊島区）
• - 無上寺本堂（東京都八丈町）
• - 西山本門寺（静岡県富士宮市）
• - 愛生保育園
• - 大石寺従業員集合住宅

著作と影響

横山公男はその業績に留まらず、建築に関する著作も数多く残しています。例えば、1972年には栗田勇編著の『現代日本建築家全集20 : 横山公男・沖種郎・岡田新一』が出版されるなど、彼の思想や設計哲学を学ぶための重要な資料となっています。また、1974年に『正本堂のデザイン』を発表し、1981年には上野時生編の『建築家・随想集 瀬戸の海明り』にも寄稿しました。これらの著作を通じて、彼の建築観や文化への寄与が今なお語り継がれています。

横山公男の功績は、彼が設計した建物だけでなく、その思想や影響力によっても評価されています。

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