伽藍

伽藍とは

伽藍（がらん）は、元々は僧侶たちが修行する清らかな場所を指していました。後にこの言葉は、寺院や寺院に付随する主要な建物群を意味するようになっていきました。サンスクリット語の「सँघाराम（saṁghārāma）」が由来で、略して「伽藍」と呼ぶようになりました。漢訳では「衆園」や「僧園」と訳されることもありますが、一般的には「伽藍」の名が用いられます。

インドの伽藍

インドにおいて、伽藍は初期には仏塔と僧衆の住居を別々に形成していました。しかし、時が経つにつれて、僧院は仏塔を取り入れるようになりました。後期の僧院では、中心に中庭があり、周囲に房室を持つ精舎が普及しました。精舎には、会堂や食堂、台所、貯蔵室、便所などが整備され、僧たちの共同生活と個々の私生活を守るための設計がなされていました。

有名な祇園精舎や竹林精舎などは文献で知られていますが、その実態ははっきりしていません。ラージギルでは、釈迦時代のアンバパーリーが寄進したと思われる精舎の遺構が発見されていますが、その形態は後世の僧院とは異なります。また、パハールプルのソーマプラに見られる後期の僧院跡では、囲壁内に177の僧房が並び、中央には十字形の精舎があったことがわかっています。

中国の伽藍

中国における伽藍の最古の例は、後漢時代に建設された笮融の「浮屠祠」です。これは中央に金色の仏像を祀り、二重の楼閣と回廊から成る構造を持ち、約3千人を収容できるものでした。初期の伽藍は、仏への献身から始まりましたが、仏舎利信仰が広がるにつれて、仏塔と仏殿が独立した存在となり、次第に仏殿中心の伽藍へ移行しました。南北朝時代には、貴族の邸宅がそのまま寺院として転用されるようになり、仏塔を持たない伽藍が多く存在しました。また、インドの石窟寺院の影響を受けたものも多く見られます。

日本の伽藍

日本における伽藍は、山門、本堂、仏塔、講堂、僧の住居、食堂、鐘楼、トイレなど、多様な要素から構成されており、宗派や時代によって異なります。鎌倉時代の『聖徳太子伝古今目録抄』では、金堂、塔、講堂、鐘楼、経蔵、僧坊、食堂の七つを「七堂伽藍」として位置づけています。

仏教が日本に伝わった6世紀、最初の本格的な寺院は法興寺（飛鳥寺）で、回廊で囲まれた中心に仏塔を持つ形式でした。中門から金堂、タワー、講堂が一直線に配置された「四天王寺式伽藍配置」の例も見られ、これは高句麗や百済からの影響を反映しています。この傾向は飛鳥時代から奈良時代にかけて続き、40を超える寺院が建立されています。

平安時代には密教寺院が増え、整然とした伽藍配置は減少し、阿弥陀堂を中心とした浄土教の伽藍が多く見られます。鎌倉時代に入ると、禅宗の影響で整然とした配置が再び現れることとなり、三門、仏殿、法堂が一直線に配置されることが多くなりました。しかし、これらは地域により異なり、存在する伽藍もさまざまです。

その他の用法

伽藍という言葉は仏教寺院以外にも、建築学や文学においてキリスト教の「cathedral」を指す場合にも用いられることがあります。

このように、伽藍は単なる建物群ではなく、歴史や文化、宗教信仰が融合した重要な概念であり、各地域で異なるスタイルを持っています。

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