横山和成

横山和成（よこやまかずなり）氏は、1959年3月25日に和歌山県和歌山市で生まれた、日本の著名な農学者です。特に植物病理および土壌微生物学の分野で長年にわたり研究を行い、北海道大学大学院農学研究科にて農学博士号を取得しています。現在は、株式会社DGCテクノロジーでチーフリサーチャーを務める傍ら、NPO法人生活者のための食の安心協議会の代表として、食の安全と安心に関わる啓発活動にも尽力しています。

経歴

横山氏は、1977年に和歌山県立星林高等学校を卒業後、学問の道を深め、1987年に北海道大学大学院農学研究科を修了し、農学博士の学位を取得しました。大学院修了後、研究者としての第一歩を帯広畜産大学畜産学部の助手として踏み出しました。1989年には、米国に渡り、コーネル大学農学・生命科学部、ボイストンプソン植物科学研究所、そして米国疾病対策センター（CDC）にて客員研究員として国際的な研究経験を積みました。

帰国後は、日本の農学研究を牽引する機関で要職を歴任しました。1991年には農林水産省農業環境技術研究所の主任研究官に就任し、国の農業技術の研究開発に貢献しました。1999年からは北海道農業試験場主任研究官として、地域の農業課題解決に取り組みました。この間にも、ノルウェー国立ベルゲン大学や米国ミシガン州立大学微生物生態研究センター、2001年にはアルゼンチン農牧技術院生物研究所など、世界の様々な研究機関で客員研究員を務め、国際的なネットワークを築き、知見を深めました。

独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構（農研機構）においては、中央農業総合研究センターにて生産支援システム研究チーム長（2009年）および上席研究員（2012年）として、先進的な農業生産技術の研究開発を主導しました。研究活動と並行して、社会との接点も重視しており、2004年にはNPO法人生活者のための食の安心協議会を設立し、代表理事として消費者への情報提供や啓発活動を展開しています。この功績が評価され、2005年には北海道総合通信局テレコム懇談会会長表彰を受賞しました。さらに、2015年には尚美学園大学尚美総合芸術センターの副センター長に就任するなど、教育分野でもその知見を伝えています。

研究内容と活動

横山氏の研究は、植物病理と土壌微生物学を中心に展開されています。特に、土壌中に生息する多種多様な微生物が、植物の健全な生育や土壌の肥沃さに不可欠な役割を果たしていることに着目し、その生態や機能の解明に努めてきました。長年の研究を通じて、豊かな土壌が持つ微生物の多様性を科学的に評価する方法（活性値）を開発し、土壌の質を客観的に測る指標として提案しました。

この研究成果を社会に還元し、土壌微生物の重要性への関心を高めるため、革新的なイベントを企画しました。2015年 12月11日には、開発した評価方法を用いた「第1回世界土壌微生物オリンピック」の結果発表会を開催し、国内外から集められた土壌サンプルを分析し、その微生物の「豊かさ」を競うというユニークな試みを通じて、土壌の隠された価値を可視化しました。また、「緑提灯」応援隊の一員として国産農産物の消費拡大を支援したり、日本の原風景である里山の再生を目指す「里山ルネッサンス・インスティテュート（SRI）」の設立準備に携わるなど、農学の知見を様々な社会貢献活動に活かしています。

2016年4月からは、株式会社DGCテクノロジーのチーフリサーチャーとして、これまでの研究成果を応用した技術の実用化や普及に取り組んでおり、土壌微生物を活用した新しい農業や環境保全技術の開発に貢献しています。

著作

自身の研究成果や日本の農業に対する考えを伝えるため、複数の著作を発表しています。代表的なものとしては、土壌微生物の基礎から応用までを分かりやすく解説した入門書『図解でよくわかる土壌微生物のきほん土の中のしくみから、土づくり、家庭菜園での利用法まで』（誠文堂新光社、2015年）があります。また、日本の農業が直面する課題と将来展望について論じた『食は国家なり! 日本の農業を強くする5つのシナリオ』（アスキー・メディアワークス、2010年）では、政策提言を含む多角的な視点から日本の食と農業のあり方を提唱しています。

横山和成氏は、国際的な研究活動から国内での要職、そして社会連携活動に至るまで、多岐にわたるキャリアを通じて、土壌微生物学の発展と日本の農業の振興、そして食の安全・安心の向上に貢献し続けています。その活動は、足元にある土壌の重要性を再認識させ、持続可能な社会への貢献を示唆しています。

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