横岳 (八ヶ岳)

横岳（よこだけ）

横岳は、南八ヶ岳連峰に位置する標高2,830mの山で、八ヶ岳中信高原国定公園に属しています。八ヶ岳連峰の中では、最高峰の赤岳に次ぐ標高を誇ります。

概要

横岳の山頂は「奥ノ院」とも呼ばれ、山頂付近にはギザギザとした小ピークが連続しています。赤岳側から順に、二十三夜峰、日ノ岳、鉾岳（ほこたけ）、石尊峰（せきそんほう）、三叉峰（さんしゃほう）、無名峰、奥ノ院と並んでいます。奥ノ院には標高2,830mの山頂標が立っています。国土地理院の地図では、以前は2,829mの無名峰が山頂とされていましたが、2019年に奥ノ院が山頂として修正されました。

また、稜線の西側には大童心（だいどうしん）と小童心（こどうしん）と呼ばれる岩峰があり、ロッククライミングやアイスクライミングの対象となっています。これらの岩峰は、熟練した登山者にとって魅力的な挑戦の場となっています。

主な登山ルート

麓からの登山道としては、佐久側の海ノ口自然郷から杣添尾根を通るルートがあります。しかし、このルートを利用する登山者は比較的少なく、多くの登山者は美濃戸口や赤岳鉱泉から入り、赤岳、横岳、硫黄岳を縦走するルートを選びます。

夏季でも、硫黄岳から硫黄岳山荘へ下るあたりから、横岳大同心、小同心を中心とした赤岳方面にかけての稜線は、西風の影響で濃霧が発生しやすく、視界が悪くなることがあります。そのため、道に迷ったり、落石、転落、スリップなどの危険を伴うため注意が必要です。横岳付近の登山道には、遭難した登山者の書置きや追悼のための石積みが多数見られます。

熟練者・上級者向けルート

横岳には、熟練者や上級者向けのバリエーションルートが多数存在します。これらのルートは、岩稜帯やルンゼ（岩壁の溝）を通過するため、高度な技術と経験が求められます。代表的なルートは以下の通りです。

中山尾根: 中山乗越から日ノ岳頂上へ続く岩稜ルート
日ノ岳稜: 柳川北沢右俣を日ノ岳ルンゼと鉾岳ルンゼに分かつ岩稜ルート
日ノ岳ルンゼ
鉾岳ルンゼ
石尊稜: 三叉峰ルンゼから石尊峰に続く岩稜ルート
三叉峰ルンゼ
三叉峰稜
無名峰南陵
無名峰ルンゼ
無名峰北稜
小同心ルンゼ
小同心右稜
小同心左稜
大同心ルンゼ
大同心稜
裏同心ルンゼ
小同心バンドルート
小同心チムニールート
小同心左岩峰クラックルート
小同心右岩峰正面ルート
小同心北壁ルート
大同心南陵
大同心北西稜
大同心正面壁右ルート
大同心雲稜ルート
大同心大凹角ルート
* 大同心Ｙ字ハングルート

山小屋

横岳の山頂付近には、宿泊可能な山小屋が二つあります。山頂の北側、硫黄岳との間には硫黄岳山荘、南側の赤岳との間には赤岳天望荘があります。これらの山小屋は、登山者にとって貴重な休憩場所や宿泊場所を提供しています。

注意点

横岳周辺は、天候が変わりやすく、特に濃霧が発生しやすい場所です。登山をする際は、十分な装備と経験が必要です。また、落石や転落の危険性もあるため、慎重な行動を心がけましょう。バリエーションルートに挑戦する場合は、事前の情報収集と十分な準備が不可欠です。必ず経験豊富な登山者と同行し、安全を最優先に行動してください。

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