横廠式ホ号試作小型水上機

横廠式ホ号試作小型水上機について

横廠式ホ号試作小型水上機（よこしょうしきほごうこがたしさくすいじょうき）は、大日本帝国海軍のために設計された試作の水上機です。この機体は1917年に横須賀海軍工廠によって開発が開始され、翌1918年には実際の試作機が完成しました。

開発の背景と目的

横須賀海軍工廠は、偵察活動に適した小型で軽快、かつ高速で運用できる機体の必要性を認識しました。そこで、馬越喜七中尉が設計主務者として主導する形で開発が進められました。当時の海軍航空機は多くが低速機であったため、本機のような高速性能を持つ機体は新しい試みにあたりました。

試作機の設計と構造

ホ号試作小型水上機は、木製の骨組みに羽布を張った複葉機の設計を採用しています。そのスタイルは、当時日本に輸入されていたイギリスのショート 184やソッピース シュナイダーのデザインを基にしたものでした。機体の降着装置には双フロートが採用されており、水上での離着水を可能にしています。

主要スペック

以下は、ホ号試作小型水上機の主要な技術スペックです。

• - 全長: 9.955 m
• - 全幅: 14.60 m
• - 全高: 3.62 m
• - 自重: 884 kg
• - 全備重量: 1,364 kg
• - エンジン: サルムソン M-9 水冷星型9気筒（最大140 hp） × 1
• - 最大速度: 124 km/h
• - 航続時間: 6.5時間
• - 乗員: 1名

運用と評価

試作機は一機のみが完成しましたが、実際の運用に当たってはその高速性能から離着水時に危険が伴うと判断されたため、パイロットからは忌避されました。そのため、ホ号試作小型水上機は研究機という枠を超えることはありませんでした。その後、本機の設計思想やノウハウは、後の横廠式ロ号甲型水上偵察機の開発に活用されることとなります。

結論

横廠式ホ号試作小型水上機は、設計及び技術的には革新的であり、当時の航空機開発の重要な一歩でしたが、実用機としては定着しませんでした。その歴史的意義は、後の航空機開発に影響を与えた点にあります。このような試作機の開発努力は、海軍航空の可能性を広げる重要な試みといえるでしょう。

参考文献

この情報は、野沢正著『日本航空機総集 愛知・空技廠篇』から引用しました。

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