横廠式一号水上偵察機

横廠式一号水上偵察機について

横廠式一号水上偵察機（よこしょうしきいちごうすいじょうていさつき）は、大日本帝国海軍によって試作された潜水艦用の搭載偵察機です。この機体は、潜水艦に航空機を搭載するための研究の一環として、1925年に横須賀海軍工廠で開発が開始されました。約2年後の1927年5月には初号機が完成し、同年から翌1928年にかけて伊号第二十一潜水艦に一時的な格納装置が設けられ、実験が行われましたが、最終的には実用化には至りませんでした。

この水上偵察機の設計は、1923年にドイツから輸入されたU-1潜水艦搭載偵察機を基にしています。機体は木材と金属を混合した骨組みに、羽布張りの双フロートを持ち、単座の複葉機という構造をしています。特筆すべきは、その分解の容易さで、分解後の機体サイズは全長7.4m、直径1.7mの円筒形に収まることができます。作業員5名であれば、組み立て作業は約4分、分解は2分で完了することが可能でした。これにより、当機は当時の日本の航空機の中では最も小型であったと言われています。

機体諸元

以下に横廠式一号水上偵察機の主要な仕様を示します。

• - 全長: 6.205 m
• - 全幅: 7.20 m
• - 全高: 2.39 m
• - 主翼面積: 15.2 m²
• - 自重: 400 kg
• - 全備重量: 520 kg
• - エンジン: 瓦斯電ルローン 空冷回転式星型9気筒（公称80 hp）
• - 最大速度: 154 km/h
• - 航続時間: 2時間
• - 武装: なし
• - 乗員: 1名

このように、横廠式一号水上偵察機は当時の技術の結晶ともいうべき存在であり、潜水艦からの偵察を目的とした航空機の可能性を示したプロジェクトの一環として重要な位置を占めています。しかし、実用化の道には至らず、次なるモデルへの開発が進められることになります。

当機に関する詳細は、野沢正氏の著書『日本航空機総集 愛知・空技廠篇』にも記載されています。この研究は、当時の航空機開発の文脈の中でも特に興味深いものであり、その後の日本海軍の航空機開発に影響を与えたと言えるでしょう。

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