横浜市立中学校成績談合問題

横浜市立中学校成績談合問題

横浜市立中学校成績談合問題は、1960年代から1990年代にかけて、横浜市内の公立中学校で発生した成績不正操作の問題です。1991年、この問題が大々的に報じられ、社会的な関心を集めました。

概要

当時の神奈川県内では、高校入試の合否はアチーブメントテストや中学校の内申点、入試試験の点数に基づいて決定されていましたが、特に内申点が大きな影響を持っていました。内申点は相対評価で決まり、そのため教師たちは、成績の上下を決定する権限を持っていました。

教師たちは、特定の生徒が志望する高校への進学を意図して、他の生徒との成績の「交換」を行うことが頻繁にありました。これにより、成績の操作が常態化し、教師の意向によって成績が決まるという不正が広がったのです。特に、自身が受け持つ部活動の生徒に対して成績を優遇し、他の生徒に対しては不当な不利益を与えることもありました。

発覚の経緯

物事が明らかになったのは、ある中学校で生徒とその母親が評価に異議を唱えたことから始まりました。生徒AとBは親しい友人でしたが、Bが県外から転入したため、成績の評価に疑問を抱くようになりました。具体的には、数学や社会の成績がAとBで異なる評価がついていたことが問題視され、その母親が教育委員会に訴えました。さらに、Aの母親は神奈川新聞の記者と知り合いだったため、報道が行われ、この問題は大きく取り上げられました。

教育委員会は教師にアンケートを実施した結果、79の学校で成績の不正操作が行われていたことが確認され、事態は深刻化しました。補足的には、教師たちがアチーブメントテストの答案の不正解を作ったり、学区外受験を制限したりする指導も行われていたと伝えられています。

このような背景には、1981年から導入された小学区制度があり、特にトップ校への進学を妨げる要因となっていました。学校の推薦を受けた受験生が他校の進学を辞退する現象も見られるなど、不正の影響は学校全体に及びました。

その後の動き

この問題を受けて、神奈川県は1995年度にアチーブメントテストの廃止を決定しました。教師たちからはこの決定に疑問の声が上がりましたが、相対評価の問題を解消するためには必要な措置とされました。また、相対評価自体は2002年に、学区区割りは2005年にそれぞれ全廃され、教育制度の見直しが進みました。

この問題は、教育制度の不正と改革の必要性を浮き彫りにした重要な事件となりました。教育環境の透明性や公平性の重要性を再認識させる契機となり、今後の教育における評価のあり方を考える上で欠かせない教訓となっています。

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