横綱大関

横綱大関についての詳細

大相撲において「横綱大関」とは、ある特定の状況下で横綱が大関の地位も兼ねる場合に用いられる表記です。具体的には、大関が不在であるか、一人だけのときに、横綱がその地位の横に「大関」として表示されます。この制度には歴史的な背景があり、江戸時代から続く大相撲の位置づけや番付の仕組みが影響を与えています。

歴史的背景

横綱大関の呼称のルーツは、明治時代にさかのぼります。1890年、横綱の免許を受けた西ノ海が初めて番付上に「横綱」と記載された後も、大関が存在していました。ところが、1896年5月の場所で小錦が横綱となった際、東方に大関がいなかったことから、彼の地位を「大関」とし、その脇に「横綱」と表記することが選択されました。この事例がきっかけで、横綱大関が誕生しました。

その後、1904年には常陸山と梅ヶ谷が同時に横綱に昇進した際、再び大関が不在となり、同様の形での表記が行われました。1905年には、国見山と荒岩が同時に大関に昇進したため、彼らは初めて「横綱」として番付上に大書されることになりました。これにより、横綱が大関の上位であることが明確化されていきました。

表記の変遷

1909年には、横綱が地位として正式に定められ、それ以降も横綱大関の表記は続きます。特に1943年にはじめて横綱と大関を並べて書く現在の形式が導入され、以降この記載方法が一般化しました。たとえば、1981年9月場所では特別な事情から「横綱大関」となるケースがありました。この場面では、東西の正横綱の名前が記載された上で、他の横綱や関脇の記載が行われていました。

現在の状況

近年の事例では、2020年3月に西横綱である鶴竜が38年ぶりに「横綱大関」という形で表記されたことが記憶に新しいです。このとき、東大関が貴景勝のみであったため、特例として横綱の地位と大関の地位を同時に表記されることとなりました。しかし、2023年3月場所においては、再び合計人数が1人または不在になる可能性が浮上しています。この場合、関脇以下からの大関の補充については、現在の理事長が否定的な見解を示しているため、状況次第での変化が予想されます。

まとめ

横綱大関という表記は、特定の条件下でのみ用いられる一時的な措置であり、力士の待遇には影響しないとされています。実際、横綱大関として登場する力士も番付上では「横綱」として認識され、その重要性が変わるわけではありません。それでも、横綱大関の出現は、見ているファンにとっても特別な意味を持つ瞬間であり、これまでの相撲界の歴史と伝統が色濃く残る事例として位置づけられています。

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