横須賀緑荘誤爆事件

横須賀緑荘誤爆事件について

横須賀緑荘誤爆事件は1975年9月4日、神奈川県横須賀市にある木造アパート「緑荘」で発生した悲劇的な爆発事故です。午前2時36分、102号室で猛烈な爆発が起こり、同室にいた3人の男女と、階上の母娘2人など合わせて5人が命を落としました。この爆発により、9人が負傷し、緑荘は全壊、隣接する家屋も被害を受けました。特に現場の惨状は悲惨で、市内の民家の庭に遺体が散乱し、一部は頭部や四肢が吹き飛んでいるなど、目を覆うような状況でした。

当初、事故はプロパンガスの爆発によるものだと広く認識されていましたが、後の捜査で、死亡した3人は「革命的共産主義者同盟全国委員会」（中核派）の活動家であることが判明しました。彼らは爆弾を製造していた最中の誤爆によって命を落としたのです。上階の母娘は中核派とは無関係でした。

この事件の背景には、当時の日本における極左勢力の動向があります。1969年、極左グループは初めて爆弾を使用し、その後の活動の中で爆弾製造が常態化していきました。特に中核派は、70年安保闘争のさなか、世間の注目を集めるために様々な爆弾を製造し、使用を試みました。彼らの爆弾は一見不発や火力が小さく、主に注目を集めることを目的としていましたが、1971年の明治公園事件を契機に、ました目的が人を傷つけることへと変わっていきました。

1975年に予定されていた昭和天皇の訪米に伴い、中核派は皇室関連施設の爆破を企図し、そのための爆弾をこの緑荘で製造していました。しかし、準備が進む中で、うっかり爆発が起きてしまったのです。この出来事は中核派にとって大きな痛手となり、その後9年間、彼らは爆弾の製造を断念することになりました。

この事件は、当時の社会情勢や極左過激派の活動の一端を示すものでもあり、今もなお日本の歴史の中に深く刻まれています。爆発による死者や周囲への影響は甚大であり、無関係な人々の命まで奪ったことから教訓として語り継がれるべき事例といえるでしょう。

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