樺太新聞社

樺太新聞社について

樺太新聞社は、かつて樺太をエリアとして『樺太新聞』を発行していた地方新聞社です。読売新聞社の傘下にあり、社長は正力松太郎が務めていました。本社は樺太の豊原市にありました。

沿革

1908年（明治41年）に財部熊二郎によって樺太日日新聞社として開業し、『樺太日日新聞』を創刊しました。当初から樺太庁の公式搭載新聞となり、『樺太庁報』を附録として添付していました。

1942年（昭和17年）2月、戦時統合によって、『樺太旭新聞』、『樺太時事新聞』、『樺太毎日新聞』と合併し、樺太新聞社が誕生しました。同時に読売新聞社の傘下に入り、『樺太新聞』を発行するようになりました。

しかし、1945年（昭和20年）8月28日、ソ連軍の命令により発刊停止となり、その歴史に幕を閉じました。

終戦時の報道

ソ連軍の侵攻後も、発刊停止まで取材を続け、樺太の終戦史において非常に貴重な資料を残しました。これらの記事の一部は、国書刊行会刊の「望郷樺太」や、講談社刊の金子俊男著「樺太1945年夏」に掲載されています。

特に終戦直後の報道内容は、当時の状況を如実に伝えています。

1945年8月16日付1面見出し：「畏し、休戦の大詔渙発さる」（終戦ではなく休戦としたところに、ソ連軍との戦争が継続中であった樺太の実情がうかがえます。）
8月22日付：「知取にて日ソ両軍の停戦協定成立」
8月23日付：「南下のソ聯戦車隊、23、4日中に豊原地区に進駐。心配は無用、生業に励め」（停戦協定成立後にも、豊原市はソ連軍の空襲を受けており、残された市民の不安を払拭しようとする報道姿勢が見られます。）
8月25日付：「豊原市に歴史的ソ聯軍の進駐を迎えて2日目」（この新聞はソ連軍によって没収され、現存していません。）

これらの報道から、当時の樺太における緊迫した状況と、新聞社が市民に正確な情報を伝えようと努めていた姿勢が伝わってきます。

関連人物・団体

正力松太郎: 読売新聞社社主であり、樺太新聞社の社長も務めていました。
国書刊行会: 樺太新聞の記事を掲載した「望郷樺太」を刊行しました。
* 金子俊男: 樺太の終戦に関する著書「樺太1945年夏」を執筆し、樺太新聞の記事を引用しました。

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