橋川時雄

橋川時雄の生涯と業績

橋川時雄（はしかわ ときお、1894年3月22日 - 1982年10月19日）は、日本の中国文学を代表する学者の一人であり、多岐にわたる研究を行いました。彼は号として「酔軒」や「子雍」を名乗り、その独特な視点から中国文学の世界への架け橋の役割を果たしました。

出生と教育

福井県足羽郡酒生村（現在の福井市）で生まれた橋川は、1913年に福井師範学校を卒業し、翌年から福井県内の小学教諭として教壇に立ちました。彼の教員生活は短命でしたが、その後の学問に向けた情熱は変わらず、1914年には漢学者の勝屋馬三男のもとで学ぶこととなります。この経験が、彼の知識と視野を広げる大きな基盤となりました。

中国への渡航とジャーナリズム

1918年には中華民国に渡り、北京大学で学びながら、ジャーナリストとしての道を歩み始め、1922年からは「順天時報」で学芸を担当しました。1927年に設立した「文字同盟社」では、中国語とその日本語訳を併載した『文字同盟』を4年間にわたり編纂・発行し、東洋文化の理解を広める重要な役割を果たしました。

彼の1928年から1945年までの17年間にわたる東方文化事業総委員会の活動は、文化交流の重要な一助となり、特に『続修四庫全書提要』の編纂においては中心的な役割を果たしました。戦時中、1942年には熊本に移住するも、中国に残り、終戦を迎えました。

戦後の活動

1946年に日本に帰国後、教職に復帰。最初は京都女子大学の教授となり、1952年からは大阪市立大学の教授として教壇に立ちました。1957年には関西大学に移り、文学博士の学位を取得。この時期は彼の研究がさらに発展し、詩歌や陶淵明に関する業績が書かれるようになりました。

彼の教職生活は、二松學舎大学で続き、講師から教授に昇進し、図書館館長も務めました。1971年に退任するまで、その教育活動は多くの学生に影響を与えました。

主要な研究業績と著作

橋川の主な研究テーマには陶淵明の研究、『続修四庫全書提要』の編纂、楚辞、敦煌曲写本などが含まれています。彼の漢籍蔵書は死後に二松學舎大学に寄贈され、「酔軒文庫」として貴重な資源となっています。

また、彼の著作には1940年に発行された『中国文化界人物総鑑』や、1931年の『陶集版本源攷』などがあります。多くの研究や書籍が、今村与志雄編集の『橋川時雄の詩文と追憶』や、高田時雄編の『橋川時雄 民國期の學術界』として後世に伝えられています。

結び

1982年10月19日に急性心不全で亡くなった橋川時雄の功績や研究は、今でも多くの学者や学生たちに引き継がれています。彼の人生は、中国文学の深化と日本における文化交流の豊かさを物語っています。

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