足羽郡

足羽郡：福井県の歴史を刻んだ郡

足羽郡は、かつて福井県（越前国）に存在した郡です。現在の福井市の大部分をその郡域としていました。本稿では、足羽郡の成立から消滅に至るまで、その歴史的変遷を詳細にたどります。

近世から明治時代初期

明治時代初期、足羽郡域は主に福井藩の領地でしたが、一部は大野藩の領地だったという記録も残っています。この時代の村々は、福井城下町をはじめ、石場畑方、木田地方、松本地方など、多くの地域に点在していました。文献資料『旧高旧領取調帳』には、1町156村が記録されており、寺社領が存在した村もあったとされています。

廃藩置県（1871年）を境に、足羽郡域は福井県、大野県の管轄下に置かれ、その後、府県統合を経て足羽県、さらに敦賀県、石川県の管轄へと変遷しました。1878年（明治11年）の郡区町村編制法施行により、行政区画としての足羽郡が正式に発足し、吉田郡とともに「足羽吉田郡役所」が福井市佐佳枝上町に設置されました。その後、1881年（明治14年）に福井県の管轄に戻りました。この期間、村の分立や合併、改称などが繰り返され、行政区域は複雑な変化を遂げました。

町村制施行と合併

1889年（明治22年）4月1日、市制と町村制が施行されました。福井城下と石場畑方の区域が福井市となり、郡から離脱。郡域の残りの地域は13の村となり、それぞれが独自の行政組織を持つことになりました。その後も、合併や編入が繰り返され、村の数は徐々に減少していきました。

具体的には、いくつかの村が合併して新たな村が成立したり、近隣の村に編入されたりしました。例えば、和田村、木田村、東安居村などは、段階的に福井市に編入されています。昭和30年（1955年）には、上宇坂村と下宇坂村などが合併して美山村が成立しました。また、複数の村が合併して足羽村が成立し、後に足羽町となりました。

郡の消滅

昭和から平成にかけても、合併は継続されました。足羽町は1971年（昭和46年）に福井市に編入され、美山町も2006年（平成18年）に福井市に編入されました。これにより、足羽郡は消滅し、その歴史に幕を閉じました。

まとめ

足羽郡は、近世から現代まで、長きに渡り福井県の歴史を彩ってきた郡です。その歴史は、藩領の変化、府県統合、郡区町村編制法施行、市町村制施行、そして大規模な合併など、日本の近代化と地方行政の変遷を反映しています。複雑な行政区域の変遷を経ながらも、その郡域は現代の福井市の中核をなす地域となっています。 足羽郡の歴史を紐解くことは、福井市の発展と日本の近代史を理解する上で重要な一歩となるでしょう。

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