橋戸信

橋戸 信 (はしど しん)

橋戸信、または橋戸頑鉄は、日本のアマチュア野球史において重要な役割を果たした野球選手および新聞記者です。1879年3月10日に東京で生まれ、1936年に逝去するまで、彼は日本の野球に多大な影響を与えました。特に日本初のプロ野球球団「日本運動協会」の設立や都市対抗野球大会の創設に貢献し、その功績を称えられて野球殿堂にも名を刻まれています。

経歴

橋戸信は、東京府芝区にある浄土真宗本願寺派の寺院安楽寺の住職の子として生まれました。彼は青山学院での野球部でエースとして活躍し、当時の強豪校である一高を何度も打ち破る成績を収めました。青山学院卒業後、彼は1901年に東京専門学校（後の早稲田大学）文学部に入学しますが、最初は野球部に参加しませんでした。しかし、冬に部の部長に説得されて入部し、後に主将に就任します。

1903年、彼は早稲田大学の野球部の一員として慶應義塾大学に挑戦状を送るなど、早慶戦を実現させたことでも知られています。この試合は後に伝統の一戦として知られるようになりました。1905年にはアメリカへ野球の遠征に参加し、海外の技術を取り入れ日本の野球レベル向上に寄与します。彼は安部磯雄の命により、この経験を『最近野球術』という書籍にまとめ、普及させました。

大学卒業後の1907年からアメリカに渡り、約4年間滞在しました。帰国後は新聞記者として活躍し、大正5年に大阪朝日新聞社に入社。その後、全国中等学校優勝野球大会（現・全国高等学校野球選手権大会）の運営にも貢献します。

1920年には、日本初のプロ野球チームとなる日本運動協会を設立し、無限責任社員としてその旗振り役となりました。そして1927年、都市対抗野球大会の開催へと導きました。この大会は、日本の都市を代表する野球チームの競い合いとして、多くの市民に親しまれるイベントへと成長しました。

最期と遺産

1936年、橋戸は肝臓癌により入院し、一度は退院しますが、その後急性肺炎を併発し57歳で亡くなりました。彼の死を受けて同年の都市対抗野球大会では「橋戸賞」と呼ばれる大会最優秀選手賞が設けられ、彼の功績を称えました。1959年には野球殿堂に特別表彰で初めて名を連ね、その業績を永遠のものとしました。

その他の活動

彼はまた、1904年の早慶戦において、相手投手のコントロールを混乱させるために打席を替える戦法を取ったことで、「橋戸式」として知られる戦略を確立しました。さらに、義太夫節を好み、同じく野球選手の桜井彌一郎と共に寄席を巡るなど、多才な趣味を持っていました。囲碁も嗜み、初段の腕前を誇り、投網の技術は漁師に匹敵すると言われています。

橋戸信は、日本の野球界における先駆者であり、今でも多くの人々に愛され続けています。

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