橋本嘉幸

橋本 嘉幸（はしもと よしゆき）

橋本嘉幸は1930年6月20日に東京で生まれ、2008年4月1日に逝去した日本の薬学者です。彼の研究分野は薬物代謝、発がん、腫瘍免疫学など多岐にわたり、薬学博士（東京大学）、医学博士（東北大学）を取得し、東北大学の名誉教授として広く知られています。

学歴と職歴

橋本は1953年に東京大学医学部薬学科を卒業し、1958年に同大学院化学系研究科で博士課程を修了しました。彼の博士論文では、犬の尿中におけるP-Dimethylaminoazobenzeneの代謝成分について研究を行いました。その後、1979年には東北大学で医学博士を取得し、「ニトロソアミンによるラット膀胱上皮細胞の試験管内癌化に関する研究」を発表しました。

1958年からは東京大学薬学部で助手としてキャリアを始め、1962年には財団法人東京生化学研究所の主任研究員に就任。1975年には東北大学薬学部の教授に昇進、その後1993年から1994年にかけて同部の部長としても活動しました。1994年には定年退官し、名誉教授に就任した後、1995年から2001年まで財団法人佐々木研究所所長を務めました。また、1999年から2008年には共立薬科大学の理事長として、同大学と慶應義塾大学の合併に尽力しました。

学会活動と受賞歴

橋本は多くの学会で重要な役割を果たしており、日本免疫学会、日本薬学会、日本癌学会では理事や会長を歴任しました。彼の業績はしばしば評価され、1985年には「膀胱癌の実験的研究」により高松宮癌研究基金学術賞を受賞。1988年には「モノクローナル抗体の医学・薬学への応用」で日本薬学会学術賞を獲得し、1997年には日本癌学会吉田富三賞も受賞しました。

さらに、彼は文部省や厚生省の各種委員会でも活躍し、紫綬褒章や瑞宝中綬章といった名誉ある叙勲も受けています。

著書と研究成果

橋本は数多くの専門著書を執筆しており、不朽の名作として『腫瘍免疫学』（1972）、『化学物質と癌の発生』（1978）、『図説癌免疫のしくみ』（1979）などがあります。彼の研究は、癌と免疫の関係を理解する上で極めて重要であり、現代の薬学研究における基盤を築くものとなりました。

生涯と遺産

2008年4月1日、橋本は慶應義塾常任理事に就任した直後に心不全で逝去しました。享年は77歳です。彼の膨大な研究成果や教育活動は、今でも多くの研究者や学生に影響を与え続けています。患者のための薬学の発展に貢献した橋本嘉幸の功績は、忘れられない存在として記憶されるでしょう。

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