橋本実麗

橋本実麗（はしもと さねあきら）は、江戸時代後期の公卿であり、正二位・大納言の官位を有していました。

生涯

橋本実麗は、権大納言である橋本実久の子として生まれました。公武合体政策が推進された時代、実麗は歴史の表舞台に立つことになります。その契機となったのは、姪である和宮と14代将軍・徳川家茂との婚姻問題でした。当初、実麗は妹で和宮の生母である観行院（橋本経子）と共に、この婚姻に強く反対しました。しかし、幕府からの度重なる要求に対し、和宮自身が最終的に婚姻を受け入れたことで、事態は大きく動きます。

和宮の降嫁は、朝廷と幕府の政治的駆け引きの中で決定されましたが、実麗は和宮が江戸での生活で不測の事態に陥った際、京都から呼び寄せられるという条件を盛り込んだ五箇条を幕府に認めさせました。これにより、和宮の身に何かあった場合の朝廷の介入を可能とし、幕府に対して一定の牽制を効かせることができました。この背景には、単なる婚姻ではなく、朝廷の権威と和宮の安全を守るという実麗の強い意志があったと考えられます。

実麗の生涯は、公武合体という時代の大きなうねりの中で、朝廷側の要として重要な役割を果たしたと言えるでしょう。彼の行動は、単に和宮の婚姻を巡る交渉に留まらず、幕末の動乱期における朝廷の立場を維持しようとする、複雑な政治状況を象徴する出来事でした。

系譜

父：橋本実久（1790-1857）
母：家女房
正室：萩原静子（1818-1888） - 萩原員維の娘
長女：橋本麗子（1835-1889） - 東坊城夏長正室
次女：松子（？ - 1857） - 池尻胤房正室
養子：橋本実梁（1834-1885） - 小倉輔季の子。谷衛昉の四女定子と結婚。息子・実頴が19代目当主となる。
* 養子：橋本夏子（1856-1873） - 東坊城夏長と橋本麗子の次女。明治天皇典侍


実麗の家系は、公家社会において重要な位置を占めていました。特に注目すべきは、養子として迎えられた橋本実梁です。実梁は小倉輔季の子であり、谷衛昉の四女定子と結婚しました。実梁の子である実頴が橋本家の19代目当主となったことで、この家系は後世にまで続いています。また、橋本夏子は、東坊城夏長と橋本麗子の次女として生まれ、明治天皇の典侍を務めました。これは、橋本家が明治維新後も朝廷との関わりを維持し続けたことを示しています。

橋本実麗の生涯は、激動の幕末期において、公家としての責務を果たそうとした姿を伝えています。彼の行動は、当時の政治情勢を理解する上で、重要な手がかりとなるでしょう。

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