大納言

大納言について

大納言（だいなごん）は、日本の太政官において重要な役職の一つであり、古代の律令制度の中で特定の役割を果たしてきました。この官職は、四等官の次官に相当し、高い地位を持つ政策決定者として知られています。大納言の名称は「おほいものまうすのつかさ」として訓読され、中国の官職に対応する唐名は亜相または亜槐とされました。より上位の官職には丞相や大臣が存在し、大納言はそれに次ぐ位置づけでした。

古代律令制下の大納言

大納言の起源は、天智天皇時代の「御史大夫」や天武天皇時代の「納言」に遡るとされていますが、その詳細は明確ではありません。「大納言」という名称が初めて文献に登場するのは飛鳥浄御原令の中であり、その後の大宝律令や養老律令における地位とは一致しないかもしれません。

養老律令の職員令によれば、大納言は「庶事を参議し、敷奏・宣旨・侍従・献替を掌る」と定義されています。この役割においては、大臣と協力しながら政務を議論し、君主の意志を具現化する重要な役割を担っていました。また、『令義解』によれば、大臣が不在の場合にはその職務を代行する責任もありました。大納言は君主と臣下をつなぐ「喉舌の官」とも称され、その存在は政治的な調整役として位置付けられていました。

最初の定員は4人でしたが、慶雲2年（705年）には職務の過密さを理由に2人に減らされ、その代わりに3人の中納言が設置されたと記録されています。しかし、その後も実際の定員は権官（権大納言）などの設定により不確実なものとなりました。摂関[[政治]]期には、公達が大納言に任じられていく一方、院政期間中にはその地位が院近臣にも広がりました。大納言の人数は後白河院政期にはついに10人にまで増加しましたが、その後の動乱で数は変動しました。

近代太政官制下の大納言

慶応3年（1867年）の王政復古により太政官が廃止され、大納言の地位も消滅しました。しかし、新たに成立した明治新政府のもとで、1869年（明治2年）には太政官が再組織され、その際に大納言職も復活しました。この新設時の大納言には岩倉具視と徳大寺実則が就任しましたが、1871年（明治4年）に再び太政官が三院八省に改組されたことで、大納言の役職は再度消えました。それ以降、同名の官職が復活することはありませんでした。

関連項目

• - 中納言
• - 少納言

大納言は日本の政治史において重要な役職であり、多くの変遷を経てきた歴史的な存在です。その存在は国の政治体制の変革に伴って変わりゆくものの、長い間、多くの政治的権力と責任を担っていました。

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