橋本徹

橋本徹：国際的なキャリアと企業再生の立役者

橋本徹氏は、日本の銀行界において重要な役割を果たした人物です。1934年岡山県生まれ。幼少期から英語に親しみ、東京大学法学部卒業後は、外交官を目指して外務公務員上級試験に挑戦するも不合格となり、富士銀行（現みずほ銀行）に入行しました。

銀行員としてのキャリアの出発点は新宿支店でしたが、その後、フルブライト交流計画でカンザス大学に留学するなど、国際的な視野を養いました。帰国後は、国際業務に携わる機会が多く、1973年には英国の商業銀行との合弁会社設立にあたり初代社長としてロンドンに赴任。6年間の駐在生活を経て帰国しました。

橋本氏の国際的な活躍は、それだけにとどまりません。富士銀行が買収したシカゴのノンバンク会社「ヘラー」の経営再建にも初期段階から関与し、1984年には副社長として現地に赴任、経営再建に尽力しました。これらの経験は、彼の国際的なビジネスセンスと問題解決能力を磨く上で大きな役割を果たしたと言えるでしょう。

富士銀行でのキャリアにおいては、1991年に頭取に就任。就任直後には、バブル経済崩壊後の不祥事に関する証人喚問を受け、厳しい状況下で銀行の経営にあたりました。住専問題における責任をとり、1996年に頭取を辞任、会長に就任しました。その後も、日本経済団体連合会副会長や経団連評議会副議長などを歴任し、日本の経済界をリードする存在として活躍しました。

みずほFG発足後の2002年には富士銀行を退任しましたが、その手腕は高く評価され、2003年にはドイツ証券東京支店長から会長就任を要請され、企業相手の渉外業務などを担当しました。

さらに2011年には、東京大学柔道部時代の先輩である室伏稔氏（当時、日本政策投資銀行社長）の要請を受け、日本政策投資銀行の社長に就任。日本航空の経営再建支援や東日本大震災からの復興支援など、日本の経済再生に大きく貢献しました。

橋本氏は、単なる銀行家としてだけでなく、企業再生のプロフェッショナルとして、そして国際的な視点を持つリーダーとして、日本の経済界に多大な貢献を果たしました。その経験と能力は、日本の経済発展に大きく寄与したと言えるでしょう。 また、プロテスタント信者として、イニシアティブス・オブ・チェンジ会長や国際基督教大学理事長なども歴任し、幅広い分野で活躍しました。彼の経歴は、国際的な経験、経営手腕、そして高い倫理観を兼ね備えた稀有な人物像を示しています。 その人生は、困難に立ち向かい、常に前向きに未来を切り開いていく姿勢の模範と言えるでしょう。

主な経歴

1934年：岡山県生まれ
1957年：東京大学法学部卒業、富士銀行入行
1991年：富士銀行頭取就任
1996年：富士銀行会長就任
2003年：ドイツ証券東京支店長会長就任
2011年：日本政策投資銀行社長就任
* その他：国際基督教大学理事長、イニシアティブス・オブ・チェンジ会長など

橋本徹氏の生涯は、国際的な視野と卓越した経営手腕、そして社会貢献への強い意志を示す、日本の経済史における重要な一ページと言えるでしょう。

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