橋本車両基地

橋本車両基地は、福岡市交通局が運営する主要な車両基地の一つです。福岡市西区橋本に位置し、福岡市営地下鉄七隈線で使用される全ての車両がここに所属し、日々の運用を支えるための検査、修繕、管理が行われています。橋本駅からは東に約200メートルの距離にあります。

この基地は、七隈線の開業に合わせて新設されました。その設計においては、「安全・あかるい・きれい」という基本方針に加え、環境負荷低減（「有害なものを出さない」）や、運営の効率化とコスト削減（「省エネルギー」「自動化・省力化」）が重要なコンセプトとされました。

敷地面積は約79,000平方メートル、建築延床面積は約25,800平方メートルという規模を誇ります。車両の検修能力も高く、日常点検である列車検査は1日に3～4編成、月ごとの検査は月に6～7編成、そして数年ごとに行われる大規模な重要部検査や全般検査は年間4～5編成を実施可能です。

南北方向に約700メートルの長い敷地には、多機能な施設が効率的に配置されています。車両を留め置く留置線は11線あり、それぞれ4両編成を縦列で収容できます。運行前の最終確認を行う試運転線も1線あります。走行で摩耗した車輪を正確な形に整えるための車輪転削線が1線あり、専用の車輪削正装置を備えています。

基地の中心施設である検修庫は建屋内にあり、将来の編成長伸展も考慮して6両編成に対応した構造です。検修庫内には、車両外部をきれいにする洗浄線が2線、日常の列車検査を行う列車検査線が2線（うち1線に特殊洗浄装置あり）、月検査線が1線、車両内部の埃などを吹き飛ばす気吹線が1線、一般的な整備を行う整備線が1線、そして車両や部品の重整備を行う工場線が1線配置されています。

基地の南側エリアには、橋本駅へと繋がる入出庫線が2線と、車両全体を水洗いする装置を備えた引上線が1線あります。特徴的な運用として、車両は本線から基地内へ直接出入りせず、必ずこの引上線を経由して折り返すことで入出庫を行います。また、線路の保守に使う保線機械の車庫や、基地構内で車両を移動させるための入換機車庫もこのエリアにあります。特に、ピット構造で自走できない列車検査線や月検査線への車両入換のために、軌陸式（線路・道路両用）の入換機が配備されています。

工場線エリアには、車両のあらゆる部分の修繕に対応する専門設備が集約されています。具体的には、車体塗装場、車体修繕場、車輪と車軸を扱う輪軸修繕場、リニアモーターを専門とするLIM修繕場、台車修繕場、車体部品修繕場、その他部品修繕場、空調機修繕場、空気ブレーキ関連部品を扱う空制部品修繕場など、車両全体を維持するための多様な修繕機能が集積しています。

橋本車両基地には、福岡市営地下鉄七隈線で運行されている全ての車両が所属しています。現在、開業時からの3000系（4両編成×17本＝68両）と、近年導入された3000A系（4両編成×4本＝16両）が配置されており、合計で21編成84両の七隈線車両がこの基地で管理されています。これらの車両は、この基地での徹底した保守管理を経て、日々の安全運行を担っています。

橋本車両基地は、七隈線の運行を舞台裏で支える重要な拠点であり、最新の技術と環境配慮に基づいた施設設計により、車両の最高の状態を維持し、利用者の安全・快適な移動に貢献しています。

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