橘修

橘 修（たちばな おさむ）

日本の元プロ野球審判員であり、パシフィック・リーグの審判部において主任を務めた人物です。1947年5月30日に生まれ、長年にわたりプロ野球のグラウンドで公正なジャッジを下し続けました。

経歴

橘氏は広陵高等学校を卒業後、広島市役所に勤務しました。公務員としてのキャリアを経て、アマチュア野球の審判として活動を開始。広島県高等学校野球連盟で審判員を務めた経験を持ちます。その経験が認められ、1979年には日本野球機構（NPB）のプロフェッショナル審判員として採用されました。NPBでのキャリアを通じて、一貫して審判員袖番号「5」を使用しました。この番号は、彼がプロ野球界に貢献した期間、すなわち1979年の採用から2003年に現役を退くまで、彼の象徴となりました。

審判としての実績

プロ野球審判員として、橘氏は公式戦で通算2376試合に出場するという、長きにわたる豊富な経験を積みました。これは審判員のキャリアにおいて特筆すべき数字です。また、プロ野球の華やかな舞台であるオールスターゲームには4回（1985年、1990年、1995年、1999年）、そして日本シリーズには3回（1991年、2000年、2001年）出場しています。オールスターゲームにおいては1985年の第2戦で、日本シリーズでは1991年の第3戦、2000年の第6戦でそれぞれ主審を務めるなど、シリーズの行方を左右する重要な局面で責任ある役割を担いました。また、審判用具に関する変化にも対応し、1986年からはインサイドプロテクターを導入して、より安全かつ効率的なジャッジスタイルを確立しました。

歴史的な試合でのジャッジ

橘氏は、日本のプロ野球史において語り継がれるいくつかの重要な試合に立ち会っています。特に印象的なものとしては、1980年10月7日に近鉄バファローズが後期優勝へのマジック1として日本ハムファイターズと対戦し、勝利してそのまま後期優勝を決めた試合が挙げられます。この歴史的な一戦で、彼はライト側の外野審判を担当しました。さらに、プロ野球ファンにとって忘れられない「10.19」として知られる1988年10月19日の川崎球場でのロッテオリオンズ対近鉄バファローズのダブルヘッダー第1試合では、主審としてグラウンドの中心に立ちました。激しい優勝争いの渦中で行われたこの試合での冷静なジャッジは、多くの野球ファンの記憶に残っています。また、2000年の日本シリーズ第6戦でも主審を務めており、これもまたシリーズのクライマックスを裁く大役でした。これらの経験は、彼の審判としての確かな技術と、プレッシャーの中で職責を全うする精神力の強さを示しています。

審判員の地位向上への貢献

橘氏は、グラウンドでのジャッジだけでなく、プロ野球審判員の労働環境や社会的地位の向上にも尽力しました。商業労連・連帯労組プロ野球審判支部の支部長として、組織のリーダーシップを発揮し、審判員たちがより良い条件で仕事に取り組めるよう、様々な活動を展開しました。こうした労組活動を通じて、審判員という職業が持つ専門性や重要性を社会に訴えかけ、その地位確立に貢献した功績も大きいと言えます。

引退後の活動

2003年にNPBでの現役審判員としてのキャリアを終えた後も、野球界との関わりを持ち続けました。特に国際的な舞台でもその手腕を発揮。台湾のプロ野球リーグにおいては、審判技術指導員として後進の育成や全体のレベル向上に貢献しました。台湾プロ野球の審判技術水準向上に努めたことは、日本の審判技術が海外にも伝播し、野球全体の発展に寄与する一例と言えるでしょう。

まとめ

橘 修氏は、プロ野球審判員として長きにわたり活躍し、多くの重要な試合を正確なジャッジで支えました。主任としての組織運営、労働組合支部長としての地位向上活動、そして引退後の国際貢献と、そのキャリアは多岐にわたります。グラウンド上での冷静かつ的確な判断力はもちろんのこと、審判組織全体の発展や後進育成にも力を注ぎ、日本のプロ野球界に確かな足跡を残した人物と言えるでしょう。その功績は、単なる試合の進行役にとどまらず、プロ野球という文化を支える重要な要素として記憶されるべきものです。

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