橘喜久子

橘 喜久子

橘 喜久子（たちばな きくこ、1909年10月2日 - 1968年12月5日）は、日本の映画女優として、昭和初期から中期にかけて活動した人物です。多くの時代劇作品で重要な役を演じ、その存在感を放ちました。また、女優の大山デブ子は彼女の妹にあたります。

生涯とキャリア

本名を石川 政子といい、大阪市東区の出身です。早くから女優の道を志し、1924年に松竹下加茂撮影所に入所します。同年、ヘンリー小谷監督の作品『繞る秘密』で銀幕デビューを果たしました。翌1925年には松竹蒲田撮影所へと活動の場を移し、連続作品『孔雀の光』全6編ではヒロインという大役を任されます。しかし、この時期に病を患い、やむなく松竹を退社することとなりました。

病気療養を経て映画界への復帰を目指し、1927年にはヤマト映画製作所に入社。さらに1928年には河合映画製作所へと移籍します。河合映画では、当時のスター俳優であった葉山純之輔や雲井竜之介らの相手役として、数多くの時代劇作品に出演しました。現代劇の要素を取り入れたものも含め、幅広い役柄を演じ、そのキャリアを積み重ねていきます。河合映画は1933年に大都映画と改称されますが、引き続き大都映画に所属し、主役級から脇役まで、多岐にわたる作品で安定した演技を披露しました。

第二次世界大戦中の映画界再編に伴い、1942年には大映東京撮影所に移籍します。大映でも地道な活動を続け、映画女優として晩年まで精力的に活動しました。そして、1967年に出演した作品『早射ち犬』を最後に、長きにわたる俳優生活に終止符を打ち、引退しました。

引退から間もない1968年12月5日、59年の生涯を閉じました。戦前から戦後にかけて、日本の映画史の一端を担った女優として、その名は記憶されています。

主な出演作品

橘喜久子が出演した代表的な作品には以下のようなものがあります（一部抜粋）。

1933年：『結婚五十三次』
1934年：『闇の顔役』
1935年：『裏街の大統領』
1936年：『乳姉妹』
1941年：『大空の遺書』
1967年：『早射ち犬』

これらの作品からも、彼女が様々な時代の映画に出演し、特に河合・大都時代には時代劇の分野で重要な役割を果たしていたことがうかがえます。

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