橘家文蔵 (2代目)

二代目 橘家 文蔵について

二代目橘家文蔵（たちばなや ぶんぞう、1939年8月25日 - 2001年9月10日）は、東京都文京区出身の落語家で、本名は井白清一です。落語協会に所属し、出囃子は『三下り鞨鼓』でした。彼は生前「二代目」という名乗りを使用していなかったのですが、弟子が「三代目橘家文蔵」として襲名したため、このように記述されています。

来歴

文蔵は、噺家を目指していた少年時代に、友人の影響で師匠の八代目林家正蔵に入門します。入門時の高座名は「勢蔵」で、名前の「清一」を変化させたものでした。1958年には二ツ目に昇進し、1968年には真打として橘家文蔵に改名します。正蔵から亭号を譲り受けた経緯は興味深いものです。

彼は、1982年に「笑点」の追悼特集に出演した後、体調の不調が続き、高座に向かう回数は徐々に減少していきました。2001年に心不全で62歳という若さで亡くなり、その死は多くの仲間によって悲しまれました。追悼行事として、弟子の三代目橘家文蔵の企画による「二十三回忌追善落語会」が2023年に催されました。

芸風・逸話

彼は派手さはなくとも、軽快で親しみやすい語り口を持ち、幅広い観客に愛されました。三味線の伴奏も得意で、分かりやすいストーリーラインは上方落語の人間国宝にあたる桂米朝もその実力を認めるほどでした。多くの学校での寄席活動も行い、多忙を極め、「文蔵が楽屋にいれば、夏休み」という川柳が仲間内で流行るほどでした。

また食に関して独特の好みがあり、朝鮮料理やカレーライスを好みつつも鶏肉は苦手でした。ある日、カレーライスを食べることになった際、鶏肉が使われていることに対して愚痴をこぼしたというエピソードもあります。彼が亡くなった日には、アメリカ同時多発テロ事件が発生し、その後の葬儀ではその話題で持ちきりだったと言われています。

芸歴と持ちネタ

彼の芸歴は、1955年に八代目林家正蔵に入門し、1958年に二ツ目、1968年に真打昇進を果たしました。持ちネタには「ちきり伊勢屋」や「大仏餅」、「竹の水仙」などがあり、特に「竹の水仙」に関しては、六代目三遊亭圓生からのネタ交換があったという逸話も残っています。「大仏餅」は古今亭志ん朝にも教えたことがあり、彼の持ちネタは実に多岐にわたりました。

最後に

二代目橘家文蔵は、その温かく親しみやすい語り口と献身的な教育姿勢で多くの後輩やファンに愛されました。彼の存在は落語界だけでなく、広く日本文化にも大いに影響を与えました。弟子たちの活躍を見守り続けるという姿勢で、彼の精神は今も息づいています。

もう一度検索