真打

真打（しんうち）

概要

真打とは、日本の落語や講談の世界において最も高い身分とされる称号です。これは、最高の技術を持つ芸人が名乗ることができ、通常は興行の最後の出番、すなわち主任（トリ）を務める権利も与えられます。このため、真打はその名の通り、他に類を見ない能力を持った存在として多くの人に認識されています。一般的に「真打」という語は、他の場面でも遅れて登場するが、質や能力が特に高い人や物に対して使われることがあります。

語源

語源には説がいくつかありますが、最も有力な説は、昔の寄席でロウソクの灯が消える最終演者として登場することに由来するというものです。具体的には、最後の出番の芸人が燭台の芯を打つことで火を消し、観客に強い印象を残すことから「真打」と呼ばれるようになったと考えられています。「真打登場」のように、客が待ち望む存在としての象徴行為です。

落語における真打制度

現在、日本の落語界では特に江戸落語（東都）の主要4団体において、真打昇進の制度があります。これらの団体はそれぞれ異なる基準で真打を認定し、昇進試験が行われることが一般的です。

たとえば、落語協会と落語立川流では、真打昇進試験が導入されており、試験や推薦に基づいて決定されます。しかし、昇進の基準が不明確なことが多く、特に落語協会では過去に分裂騒動を引き起こしたこともありました。立川流では厳格な試験が存在し、談志が存命の時には特に難易度が高いことで知られています。

昇進の経緯

通常、落語家は「前座」から始まり、次に「二ツ目」、「真打」と昇進しますが、たとえば2019年には立川志獅丸が前座から直接真打に昇進する特異なケースもありました。こうした特例は落語界の奥深い人間関係や師弟関係を反映しています。

抜擢真打

近年では、特に優れた実力を持つ落語家に対しては「抜擢真打」として新たに真打に昇進させるケースもあります。これまでの入門順とは無関係に認定されるため、非常に注目されています。

女性落語家の真打

最近の動向として、女性落語家の真打昇進も増えています。1993年に初めて昇進した三遊亭歌る多を皮切りに、数多くの女性が真打として認定されています。2024年5月の時点で、団体ごとに女性真打が存在し、彼女たちは男性の真打と同等に扱われています。

真打昇進披露

真打昇進の特別な興行が定席の寄席で行われ、新たに真打となる落語家がトリを務めます。興行の初日には、関係者や師匠が集まり、そのお祝いを行う伝統が根付いています。

講談とその他の分野

真打の概念は、落語だけでなく、漫才や講談など他の日本の伝統芸能にも存在します。講談協会や漫才協会でもそれぞれの真打制度が導入されていますが、落語ほどの知名度はないかもしれません。

このように、真打という称号は単なる称号以上のものであり、日本の伝統文化において重要な意味を持つ存在です。

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