機上不活性ガス生成装置

機上不活性ガス生成装置（OBIGGS）とは

OBIGGS（On Board Inert Gas Generating System）は、航空機において燃料タンクでの火災や爆発を未然に防ぐことを目的とした重要な装置です。燃料タンク内には、気化した燃料と酸素が混在するため、静電気などの発火源が存在すると危険な状況を招くことになります。

仕組みと機能

OBIGGSは、航空機のエンジンから抽気した空気を利用して、そこで分離・濃縮した不活性ガスである窒素を燃料タンク内に供給します。このプロセスによって、タンク内部の酸素濃度を低下させ、燃焼を防ぐ仕組みになっています。これにより、タンク内の爆発リスクを大幅に減少させることが可能となります。

燃料タンクの火災防止は、航空機の安全性を確保するために非常に重要です。OBIGGSを搭載することにより、航空機の設計に柔軟性がもたらされ、従来の金属製ハニカム構造やポリウレタン充填材を省くことができます。この結果、航空機本体の軽量化が実現し、燃料の搭載量を増加させることができます。

利点と運用

OBIGGSの大きな利点は、エンジンが稼働している間は継続的にガスを供給できる点です。これによって、常に安全状態を維持することが可能です。また、地上での整備作業においても不活性ガス充填の作業が不要となり、作業効率が向上します。

採用されている航空機

OBIGGSは、1982年に量産が開始されて以来、主に軍用機に搭載されています。その例には、AH-64やV-22、C-17、AH-1Zなどがあります。これらの機種では、OBIGGSの導入によって安全性が強化され、操作の安心感が向上しています。

まとめ

機上不活性ガス生成装置（OBIGGS）は、航空機の燃料タンクの火災や爆発を防ぐための重要なシステムです。安全性の確保のみならず、航空機の設計への自由度を高め、軽量化や燃料搭載量の増加にも寄与しています。今後も多くの航空機に採用され続けることでしょう。OBIGGSの技術革新は、航空機の進化において欠かせない要素となっています。

もう一度検索