機動再突入体とは？意味をやさしく解説

機動再突入体（MARV）の概要

機動再突入体、またはManeuverable Reentry Vehicle（MARV）は、弾道ミサイルに搭載される自律的な追尾機能を持つ弾頭です。MARVは、発射後に地上の目標を追尾しながら軌道を変え続けることが可能で、これにより敵の防空ミサイルシステムや迎撃ミサイルを回避するための重要な技術とされています。特に、終末期においては、電波ホーミング誘導を用いることで精度を高め、目標を確実に捉えることが求められます。このような技術は、最初期の弾道ミサイルであるパーシング IIに見られ、以来多くの国で導入されています。

高度化MARV（AMaRV）

高度化MARV（Advanced MARV、略してAMaRV）は、マクドネル・ダグラス社によって開発されたいわば次世代型の機動再突入体です。AMaRVは、試作段階で4体が製造され、そのうちの3体は1979年から1981年にかけてミニットマン-Iミサイルに搭載され、正式に発射されました。この再突入体は約470kgの質量を持ち、再突入時の形状は円錐形に設計されており、そのサイズや形状は高度な空力特性を考慮したものとされています。

AMaRVの形状は、前半部と後半部が異なる頂角を持つことで、空力特性の向上を図っています。情報は限られているものの、公開されている資料には、AMaRVによるヘアピンターンの軌道プロットやスケッチがあり、その詳細はある程度知ることが可能です。

AMaRVの姿勢制御は、スプリット・ボディ・フラップと呼ばれるフラップ装置を駆使して行います。これに加え、再突入体の側面には2つのヨー・フラップが取り付けられており、油圧システムを使った精密な制御が可能です。AMaRVは完全自律型の誘導装置を搭載しており、あらゆる迎撃ミサイルの攻撃を回避するために設計されています。