機電系

機電系：機械・電気・電子工学の融合と就職事情

「機電系」とは、高等専門学校、大学、大学院における機械工学、電気工学、電子工学、そして関連する学問分野を包括的に指す言葉です。主に企業の採用活動において用いられ、機械系と電気電子系をまとめて表現する際に用いられます。

かつては重電工業の技術者を指すことが多かった機電系ですが、現代ではその意味合いはより広範なものとなっています。しかし、機械系と電気電子系、あるいは機械系と電子系の間の関連性は、電気系と電子系間の関連性と比較すると、非常に薄いと言わざるを得ません。基礎となる数学や物理学は大学低学年で共通して学習しますが、専門性の高い領域になると、両者の間には大きな隔たりがあります。近年、学際領域の研究が盛んになり、互いの成果を応用するケースも出てきていますが、専門性の違いは依然として顕著です。

一方で、産業界において工業設備を運用する際には、機械系と電気電子系の両方の技術者が不可欠です。そのため、電機メーカーのみならず、食品メーカー、医薬品メーカー、ゼネコン、化学・素材メーカーなど、幅広い業界で機電系技術者は必要とされています。このため、採用活動においては機械系と電気電子系の学生がまとめて扱われることが多く、機電系というくくりで募集が行われるケースが多く見られます。大学側では、この「機電系」という表現はほとんど使用されず、企業側が採用活動において用いる表現です。

採用動向：激変する就職事情

従来、機電系学生の就職は、メーカーからの推薦が中心でした。しかし、2006年頃から就職市場が売り手市場になると、優秀な理工系学生が、より高給で数学的知識を生かせる外資系企業、金融業、総合商社などに進むケースが増えました。2008年の調査では、理系男子学生の人気企業ランキング上位に総合商社が複数ランクインしており、製造業はこれらの企業と優秀な人材獲得で競争を強いられるようになりました。

2009年には、輸出依存型のメーカーで採用中止が相次ぎ、機電系学生への需要も急減しました。大手電機メーカーや自動車メーカーの選考から漏れた学生を受け入れるだけの生産技術職の募集枠は少なく、機電系学生の就職活動は困難なものとなりました。

機電系学生における女子学生の比率は低い傾向があり、理工系全体の中でも特に機械工学系や電気工学系では女子学生の割合が低いのが現状です。そのため、女子学生は比較的容易に専門分野に関連する業界に就職できる反面、理学や化学分野の女子学生は、希望する業界への就職が難しいケースもあります。

中途採用においては、機電系は広告費が高くなる傾向があります。2013年以降のアベノミクスによる円安・株高は製造業の就職活動を好転させ、機電系学生への採用は再び活況を呈し、2015年現在では非常に良好な水準を保っています。

大学進学動向：人気の変遷

高校生の進路選択においても、機械工学科や電気工学科の人気は、以前と比べて低下傾向にあります。医学部や薬学部の人気が高まる一方、工学部、特に機械工学科、電気工学科、情報工学科の人気は相対的に低くなっていることが統計からも示されています。

機電系に属する学問分野

機電系には、以下のような学問分野が含まれます。

機械工学
電気工学
電子工学
計測工学
制御工学
ロボット工学
メカトロニクス
通信工学
航空宇宙工学
船舶工学

これらの学問分野は、密接に関連し合いながら、現代社会の様々な技術革新を支えています。今後も、機電系技術者の活躍はますます重要になっていくでしょう。

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