檔案

中国における「檔案」（とうあん）とは

「檔案」は、中国語で公文書や記録全般を指す言葉です。歴史的には、歴代政権が作成した公文書を意味し、「檔子（とうし）」とも呼ばれてきました。現代においては、各種組織や機関、個人が業務を行う中で発生し、保管されるあらゆる記録、文書、資料を指します。

特に中華人民共和国では、国家が国民を管理する目的で作成される個人の詳細な記録を指す「人事檔案」が重要です。これは、個人の経歴、思想、家族構成、学歴、職歴、党歴、言動、交友関係、犯罪歴など、出生から現在に至るまでのあらゆる情報が記録された秘密文書です。

歴史檔案

中国には、歴史的な公文書である「歴史檔案」を収蔵する専門機関があります。国立公文書館として、北京の紫禁城内には明朝・清朝時代の歴史檔案を収蔵する第一歴史檔案館が、南京には中華民国時代の公文書を収蔵する第二歴史檔案館が設置されています。また、各地方自治体もそれぞれ「檔案館」を設け、歴史檔案を収蔵・公開しています。

人事檔案

中華人民共和国における「人事檔案」は、『中華人民共和国檔案法』および『中華人民共和国檔案法実施弁法』によって厳格に管理されています。原則として、作成から30年間は非公開とされています。

人事檔案には、出身階級に基づいた「本人成分」をはじめ、家族構成、学校での成績、党歴、職歴、結婚歴、過去の言動、旅行歴、交友関係、犯罪歴など、個人に関するあらゆる情報が記録されています。これらの情報は、所属機関の共産党人事部、または地方共産党支部の人事局や労働局によって厳重に管理され、本人や親族を除く共産党員や業務委託を受けた者にのみ閲覧が許可されます。

計画経済体制下では、人事檔案は個人の進学、就職、昇進などに重要な影響力を持っていました。しかし、近年では流動人口の増加や民間企業の台頭により、就職における重要性は低下しています。しかし、人事檔案は依然として所属機関や『流動人員人事檔案管理暫行規定』に定められた機関によって保管されています。

この人事檔案の性質上、文化大革命などの政治的な混乱期には、個人攻撃や名誉毀損などの政治的迫害に利用されることもありました。人事檔案は、中国社会における個人情報管理のあり方や、政治的な影響力を示す上で重要な存在と言えるでしょう。

関連事項

単位 (社会組織)：中国における職場や組織の単位。人事檔案は単位によって管理されていました。
監視資本主義 (書籍)：ショシャナ・ズボフ著の書籍。档案について言及しており、現代社会における情報管理の問題を示唆しています。
生活保護: 日本の生活保護制度では、保護台帳という人事檔案に類似した書類が作成されます。

外部リンク

中国国家档案局

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