檜山丸 (初代)

檜山丸（ひやままる）について

檜山丸は日本国有鉄道（国鉄）の青函航路において活躍した車両渡船で、洞爺丸台風による以前の船の喪失に対応するために急遽建造された二隻のうちの一つです。この船は、本格的な青函連絡船としては初めてディーゼルエンジンを搭載した船で、同型の船として空知丸が存在しました。以下に、檜山丸の建造経緯や構造、運航などについて詳しく解説します。

檜山丸の建造経緯

1954年、洞爺丸台風によって車載客船洞爺丸や北見丸など、計5隻が沈没しました。これにより青函航路の貨物輸送能力が大きく減少し、国鉄は新たに2隻の車両渡船を建造する決定を下しました。1955年には、檜山丸と空知丸の建造が始まり、檜山丸が先に竣工し、初代の檜山丸として就航を果たしました。

構造と設計

檜山丸は、従来のW型車両渡船を参考にしながら、より高い安全性や復原性を求めて設計されました。これにより全長と幅を若干増し、浸水対策やディーゼルエンジンの採用、そして二枚舵の設置が行われました。また、車両甲板上部には浸水防止策として排水口が設けられ、車両積載のための平行な軌道が整備されました。

一般配置

檜山丸は船楼甲板の上に3層の甲板室を持ち、居住スペースは高級船員室と普通船員室に分かれています。特に設計では、船首部に係船作業場が設けられ、機械類の配置も工夫されていました。この構造により、船尾の係船機械は効率的に操作可能であったという特徴もあります。

安全対策とその設計

洞爺丸台風の教訓を活かし、檜山丸は様々な安全対策が施されていました。特に、2隻の隣接区画が浸水しても沈まないような設計が取り入れられました。また、制御のための油圧式操舵機の改良も行われ、船の運航性能を向上させています。

レーダー装備と運航

檜山丸は、初期にはレーダーの装備が計画されましたが、建造の最終段階で変更があり、2台のレーダー装備は実現しませんでした。運航は、青函連絡船として1日2往復の設定で行われ、時にはトラックの航送も行いながら、物流の重要な役割を果たしました。

沿革

檜山丸は1955年に就航し、その後数次の改装や運航の変化を経て、1976年に引退しました。その後も空知丸と共に、青函航路の重要な一翼を担い続けました。これまでの長い運航生活を経て、国鉄の変革の時代と共に終焉を迎えました。

まとめ

檜山丸は、洞爺丸台風の影響を受けて建造された日本の国鉄青函航路の重要な船です。その構造や設計には、厳しい条件の下でも活躍できるような工夫と配慮がなされていました。青函連絡船としての歴史も含めて、檜山丸は日本の船舶技術の一端を担った存在であったと言えます。

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