檜山騒動

檜山騒動（ひのきやまそうどう）

青森県の東津軽郡平内町と上北郡野辺地町・東北町の境に位置する烏帽子岳で発生したこの騒動は、津軽藩と南部藩の間の土地を巡る争いを引き起こしました。地元では「ひのき騒動」とも呼ばれています。津軽氏が南部氏から独立して以降、二藩の間には長年の対立が続いており、特に藩境のヒノキ林を巡るトラブルが発端となりました。

経緯と背景

元々、津軽氏は南部氏の支族でしたが、豊臣秀吉の小田原征伐に参陣し独立しました。彼らが取得した領地は、南部領内で最も肥沃な津軽平野でした。このため、南部氏は古くからの領地を奪われ、恨みが積もっていったのです。江戸時代に入ってもその憎悪は根強かったとされています。

特に、津軽藩と南部藩の関係が悪化した要因の一つは、小さな出来事が引き金となり、簡単にトラブルに発展することでした。南部藩領でのヒノキ材の献上が求められた際、南部藩は「領内にはヒノキは存在しない」と拒否し、結果として津軽藩は二倍の量を供出しました。この対立は激化し、津軽藩が南部領内に侵入しヒノキを伐採する行為が発端となり、南部藩側が強烈に反抗し、暴力事件に繋がりました。

伝承と証言

野辺地地区には、この騒動についての伝承が多く残されています。特に、『浮世の有様』に記されたエピソードでは、津軽藩が自領の証明をするために境界石を埋め込む様子が描かれています。80歳を超える老人が証言し、「かつて境界が存在した」と証言したことで境界が津軽領として認められました。このように、地域の人々の間で伝えられる物語は、歴史的な真実の影響が色濃く残っています。

実際の経過

檜山騒動がより深刻化したのは1713年のことです。境界についての訴えに対し、幕府が検使を派遣し、その調査が行われました。当時、南部藩が主張した境界とは異なる新たな証拠が津軽藩側から提出され、最終的に南部藩の主張が否定される結果となりました。これにより、烏帽子岳の一帯が津軽藩の領土として確定されました。

南部藩の住民も、樵を対象に定められた入山料を支払い、木材を取り出す許可を得ることで、資源の利用が可能とされました。この件は、長年にわたる両藩の対立の象徴とも言える出来事であり、その後も互いに罵り合うような関係に変わっていきました。

後世の影響

檜山騒動の後、津軽藩と南部藩の間には新たな憎しみが生まれ、それが衝突を引き起こす要因とされました。また、この騒動が相馬大作事件に結びつくとの噂も広がり、戊辰戦争が勃発した際には、南部藩側がこの問題を解決しようとしたと伝えられています。

このように、檜山騒動は単なる土地争いに留まらず、長期的な藩の対立を渦巻かせ、青森の歴史を形作る要素として今に続いています。

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