檜町警備隊

檜町警備隊

檜町警備隊（ひのきちょうけいびたい、JGSDF Hinokicho Area Security Force）は、かつて東京都港区にあった檜町駐屯地に所在した、防衛庁長官直轄の警備部隊です。この部隊は、1968年（昭和43年）に発生した新宿騒乱を契機に、防衛庁本庁舎の警備体制を強化するために設置されました。それまで、防衛庁の警備は一般の守衛によって行われていましたが、事件を教訓に陸上自衛官による専門の警備部隊が必要と判断されたのです。

概要

1968年10月20日、新左翼の過激派学生が防衛庁本庁舎に乱入し、暴力行為を繰り広げた新宿騒乱が発生しました。この事件を受け、防衛庁の警備体制の脆弱性が露呈し、陸上自衛官による警備部隊を設置する決定がなされました。こうして誕生したのが檜町警備隊です。2000年（平成12年）5月9日、防衛庁の市ヶ谷地区への移転に伴い、檜町駐屯地は閉鎖され、檜町警備隊もその役目を終え廃止されました。

部隊の運用

檜町警備隊は、全国の陸上自衛隊の部隊から選抜された隊員によって構成されていました。具体的には、普通科、特科、施設科を中心とした部隊が、1週間交代で東京に派遣され、警備任務にあたっていました。各部隊は、派遣される前に1～2ヶ月の訓練を行い、万全の体制で任務に臨んでいました。これは、部隊の名誉をかけて警備任務を完遂するという強い決意の表れでした。檜町警備隊が廃止されるまでの31年間で、およそ1,650もの部隊が上番しました。この数字は、檜町警備隊の任務の重要性と、部隊の献身的な活動を物語っています。

編成

1969年（昭和44年）の発足当初、檜町警備隊は、隊長（1等陸佐）以下20名強からなる隊本部と、全国から派遣された隊員で構成される1個警備中隊（約120名）で編成されていました。

隊本部：総務科、運用科、管理科で構成され、部隊の運営を統括しました。
警備中隊：臨時編成の部隊であり、3ヶ月を目安に全国の普通科連隊を中心に、各部隊から要員を選抜して編成されました。

他の警備部隊との違い

陸上自衛隊の各駐屯地や分屯地には、出入者を監視する「駐屯地警衛隊」（守衛）が配置されています。これらの部隊は、各駐屯地に所在する部隊の隊員が日替わりで編成されますが、檜町警備隊は、防衛庁長官直轄の部隊として、陸上幕僚長の指揮監督下で運用されていた点が大きく異なっています。また、「対馬警備隊」という同じ警備隊の名前を持つ部隊も存在しますが、任務内容が異なっています。

任務終了時の慣例

臨時編成の警備中隊が任務を終え、原隊に復帰する際には、陸上幕僚長や幕僚監部の各幕僚との記念撮影を行う慣例がありました。これは、部隊の労をねぎらうとともに、檜町警備隊の活動を記録するためのものでした。

関連項目

* 朝霞自衛官殺害事件

檜町警備隊は、31年間の長きにわたり、防衛庁の安全を守るという重要な役割を果たしました。その活動は、陸上自衛隊の歴史の中で特筆すべきものと言えるでしょう。

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