櫻井由香

櫻井 由香（さくらい ゆか）

日本の元女子バレーボール選手である櫻井由香氏は、1974年9月2日に岐阜県海津市で誕生しました。小学校5年生の時にバレーボールの道を歩み始め、岐阜県立養老女子商業高等学校（現：岐阜県立大垣養老高等学校）時代には、春高バレー、インターハイ、国体といった全国の舞台で経験を積みました。

プロキャリアの始まりとポジション転向

高校卒業後、1993年に当時の実業団リーグに所属していた日本電装（現在のデンソーエアリービーズ）に入団。当初は攻撃を担うレフトとしてプレーしていましたが、1998年にバレーボールにリベロ制が導入されたことを機に、守備専門のポジションであるリベロへと転向します。この転向が、その後のキャリアを大きく左右することになりました。

全日本代表としての活躍

リベロとしての才能を開花させた櫻井氏は、1999年にはワールドカップに出場し、全日本の守護神として世界を相手に奮闘しました。2001年にはグラチャンにおいて銅メダル獲得に貢献。その後も安定したサーブレシーブと優れた予測に基づくディグ、そして何より諦めないガッツ溢れるプレースタイルが高く評価され、2005年に再び全日本代表に選出されます。同年にはワールドグランプリやアジア選手権などに参加し、11月に開催されたグラチャンでは見事ベストリベロ賞に輝きました。特に2005年のグラチャン前の合宿では、柳本晶一監督の指導のもと、失神寸前となるほどの厳しいレシーブ練習に耐え抜いたというエピソードは、その精神力の強さを物語っています。

デンソーでの功績と記録

所属チームであるデンソーエアリービーズにおいても、櫻井氏は欠かせない存在でした。2005年にはキャプテンとしてチームを牽引し、第11回Vリーグでチームを3位に導くとともに、自身もベストリベロ賞を獲得しました。2007/08シーズンには、Vリーグ通算1000セット出場という金字塔を打ち立て、チーム初のプレミアリーグ準優勝という快挙達成に大きく貢献。また、2008年4月にはVリーグ出場試合数が279試合となり、長期にわたる貢献が評価され、Vリーグ特別表彰制度の表彰基準を満たし特別表彰を受けました。その後も活躍を続け、2010/11シーズン中の試合で通算出場試合数が350試合となるリーグ新記録を樹立しています。その功績に対し、2012年3月にはVリーグ特別賞が授与されました。

オリンピック出場と夢の実現

バレーボール選手としての最大の目標の一つであったオリンピック出場も実現しました。2008年5月に行われた北京オリンピック世界最終予選では、レシーバーとして出場し、チームの五輪出場権獲得に貢献。そして、自身も北京オリンピックの代表メンバーに選ばれ、夢の舞台に立ちました。小学生の頃からの「バレーボールの全日本選手になる」という夢を見事に叶えた瞬間でした。

日本一の栄冠と引退

選手キャリアの終盤、2010年の平成22年度全日本バレーボール選手権大会では、チームを初の優勝に導き、自身にとっては初めてとなる「日本一」のタイトルを獲得しました。チームとしては過去に日本一の経験がありましたが、その際は自身の全日本合宿参加のため大会に出場しておらず、この時の優勝が自身にとって記念すべき初の日本一となりました。

長きにわたる現役生活は、2012年4月に発表された第61回黒鷲旗大会をもって幕を閉じました。2012年5月1日に行われた大野石油との試合が、彼女の引退試合となりました。コートを去った後も、バレーボール界との関わりは続いています。2012年6月からはVリーグ機構に出向し、事務局員として機構の運営業務に携わることが発表されました。

その他のエピソード

櫻井氏のニックネーム「エビ」は、出身高校の名前である「養老」が「海老」に似ていることから付けられたと言われています。
現役時代には、チームの拠点がある愛知県西尾市の中学校などで、積極的にバレーボールの指導を行い、後進の育成にも貢献していました。
* デンソー入団当初、レフトとして試合に出ていた際には、クロアチア代表のエース、バーバラ・イエリッチ選手の対角ポジションでプレーしていた時期があります。

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