次第高

次第高（しだいだか）

次第高は、中国地方に伝わる不思議な妖怪です。主に島根県（江津市二宮町、跡市町、都野津町、邑智郡桜江町など）、山口県（岩国市、厚狭郡、阿武郡など）、広島県、岡山県といった地域で語り継がれています。

特徴

次第高は、道に現れる人型の妖怪として知られています。その最大の特徴は、目撃した人がその姿を見上げるほど、背丈がどんどん高くなっていくという点です。逆に、見下ろすと背が低くなる性質を持ちますが、見上げない限りは際限なく高くなり続けると言われています。

次第高に遭遇してしまった場合、最も重要なことは、決して上を見上げないことです。逆に、下へ下へと視線を落とすことで、次第高は徐々に小さくなり、最終的には消え去るとされています。島根県邑智郡桜江町川戸では、次第高が現れた際には、股の下から覗き見るのが良いと伝えられています。

次第高は見越入道の仲間であり、高入道、入道坊主、伸上りなどと同系統の妖怪と考えられています。

民話

島根県江津市波積町に伝わる民話では、猟に出かける際、獲物がどれだけ獲れたとしても、必ず最後の弾丸一発は次第高を仕留めるために残しておくようにとされていました。これは、万が一、次第高が現れた場合に備えるためです。

また、江津市松川町では、次第高は猫又の親分格であるとも言われています。ある猟師が浜辺で次第高を仕留めたところ、その正体はやはり猫又だったという話も残っています。

しだい坂との関連性

島根県には、「しだい坂（しだいざか）」という、名称が似た怪異の伝承も存在します。これは、三瓶山へ向かう道を人が歩いていると、道が次第に登り坂へと変化し、驚いて道を見上げると、坂全体が大きくのしかかって人を捕らえてしまうというものです。このしだい坂は、次第高の伝承が変化して生まれたものだという説もあります。

まとめ

次第高は、見上げるほど巨大化するというユニークな性質を持つ妖怪です。その伝承は、中国地方の各地に残っており、地域によって猫又との関連性も語られています。また、類似の怪異であるしだい坂の存在も、次第高の伝承の広がりと変化を示唆しています。

次第高に出会ってしまったら、決して見上げることなく、冷静に下を向くことが大切です。

関連項目

* 日本の妖怪一覧

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