欧州自由貿易連合

欧州自由貿易連合（EFTA）とは？

欧州自由貿易連合（EFTA）は、1960年にイギリスを筆頭とした欧州諸国によって設立された国際機関です。その設立の背景には、政治統合を目指した欧州経済共同体（EEC、後のEC、現在のEU）への対抗意識がありました。EECへの加盟を見送った国々が、経済的な連携を図るため、EFTAを結成したのです。EFTAは、加盟国間の関税撤廃を主要な目的とする自由貿易地域ですが、EECと異なり、共通関税を設定しない点が大きな特徴です。そのため、関税同盟とは異なった形態の経済連携組織と言えます。

EFTAの設立と変遷

1960年5月3日、イギリス、オーストリア、スウェーデン、スイス、デンマーク、ノルウェー、ポルトガルの7ヶ国によってEFTAは発足しました。その後、フィンランド（1961年準加盟、1986年正式加盟）、アイスランド（1970年加盟）が加わりました。しかし、1973年にはイギリスとデンマークがECに加盟したためEFTAを脱退、その後も1986年にポルトガルがEC加盟に伴いEFTAを脱退しました。さらに、1995年にはオーストリア、スウェーデン、フィンランドがEUに加盟したことにより、EFTAを離れました。

冷戦終結後、EFTAはEUとの関係強化を模索し始めました。その結果、EU諸国との間で、1994年に欧州経済地域（EEA）が設立されました（スイスは国民投票でEEA協定批准を否決）。EEAは、EU域内市場と同様の商品・サービス・人・資本の自由な移動を保障する自由貿易地域ですが、EUの共通通商政策は含まれていないため、関税同盟とは異なります。

現在のEFTA

現在、EFTAに加盟しているのはアイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタインの4ヶ国です。いずれもEUには加盟しておらず、独自の経済政策を維持しています。

ノルウェーは、1972年と1994年の国民投票でEU加盟を否決しました。
スイスも、1992年の国民投票でEEA協定の批准を、1992年と2001年の国民投票でEUとの加盟交渉開始案を否決しており、EUとの距離を保っています。

過去にEFTAに加盟していた国

これまでにEFTAを脱退した国々も存在します。

イギリス（1973年にECへ加盟）
オーストリア（1995年にEUへ加盟）
スウェーデン（1995年にEUへ加盟）
デンマーク（1973年にECへ加盟）
フィンランド（1995年にEUへ加盟）
ポルトガル（1986年にECへ加盟）

これらの国々は、EFTA加盟を通じて経済発展を遂げた後、より広範なEU市場へのアクセスを求めてEUに加盟を選択しました。

EFTAの役割

EFTAは、EUに加盟しない欧州諸国にとって、経済連携の重要な枠組みとなっています。EUとの関係を維持しつつ、独自の経済政策を追求する上での役割を担い続けています。今後も、グローバル化が進む中で、EFTAの果たす役割はますます重要になると考えられます。EFTAは、その柔軟な枠組みと、加盟国の多様なニーズへの対応力から、今後も欧州経済に貢献していくでしょう。その存在意義は、単なる自由貿易協定の枠を超え、多様な国際協力のモデルケースとして注目されています。

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