欧米系島民

欧米系島民の歴史

欧米系島民とは、日本の小笠原諸島において、1876年の明治政府による領有宣言以前から外国から入植し、日本の統治下にあっても住み続けた島民とその子孫を指します。彼らは、欧米系の白人だけでなく、ハワイ人やポリネシア人など多種多様な背景を持つ人々が含まれる、複雑な歴史を有するグループです。

語彙の由来

「欧米系島民」の用語は、戦後にアメリカの公文書に記載された表現を日本語に翻訳したことに起源を持ちます。当初は「帰化人」や「在来島民」という用語が用いられました。明治以降の内地人は「移住民」として区別され、こうした呼称の変遷も利用者の意識と歴史の変遷を反映しています。

入植の歴史

19世紀初頭、フランス人のジャン＝ピエール・アベル＝レミュザが小笠原諸島をヨーロッパに紹介したことがきっかけで、外国の船が頻繁に寄港するようになりました。1827年には、イギリス海軍のブロッサム号が父島に上陸し、行方不明になっていた捕鯨船の乗組員と出会います。これ以降、外国人の入植者が島に定住するようになりました。

最初の移民団は1830年にホノルルから出発し、イタリア人のマテオ・マザロを団長として加えた5名と25名の太平洋諸島出身者が父島に入植しました。この頃から、捕鯨船との物資や情報のやりとりが活発になり、島民の生活が広がります。

1840年には日本から漂流してきた中吉丸の乗組員が島民との交流を持ち、1849年には海賊の襲撃を受けるなど波乱に満ちた歴史を刻むこととなります。

明治時代と日本の支配

1861年、幕府は小笠原諸島の開拓を外国に通告します。1862年には日本軍が島に派遣され、セボリーを代表とする現地の米英系住民との協議が行われました。その後、日本の正式な支配体制が始まり、1882年には居住民全員が帰化して日本国籍を取得しました。

戦後の状況

第二次世界大戦中、1944年には住民全員が本土へ疎開し、戦後は返還された制限の中で、欧米系島民が帰島を許されました。アメリカの統治が行われる中でも、彼らの文化や生活は維持され続けました。

文化とアイデンティティ

欧米系島民は日本に帰化した後も、その文化や信仰を維持している人々が多く、キリスト教の信仰を持つ者や独自の言語を形成した者もいます。姓についても、歴史的背景を反映した多様なものが見られます。

言語と出自

島民たちは、英語と日本語が接触した結果、特有の方言を持つようになりました。彼らの出自は、アメリカ合衆国をはじめとして、ハワイ、イギリス、ドイツ、ポルトガルなど多様で、これが小笠原の文化のリッチさに寄与しています。

まとめ

欧米系島民は、日本の歴史において重要な役割を果たしてきた存在であり、彼らの文化や歴史を知ることは、地域の多様性を理解するための鍵となるでしょう。この小笠原の地で育まれた独自の文化や歴史を今後も見守り、伝えていくことが大切です。

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