歌って笑ってドンドコドン

ラジオ大阪の伝説的番組『どんどんサタデー』：上岡龍太郎とリスナーが紡いだ25年

『どんどんサタデー　歌って笑ってドンドコドン』は、1974年10月から1999年3月までラジオ大阪で放送された、関西を代表する長寿ラジオ番組です。25年にも及ぶ放送期間と、個性豊かなパーソナリティ、そしてリスナーとの深い繋がりで知られています。

上岡龍太郎と豪華パーソナリティ陣

この番組を語る上で欠かせないのが、パーソナリティとして長年活躍した上岡龍太郎です。番組開始当初は横山ノックがメインパーソナリティを務め、上岡はサブパーソナリティとして参加していましたが、後にメインパーソナリティに。彼の軽妙なトークと独特の語り口は、番組を象徴する存在でした。

上岡は番組の冒頭で、毎回「北は国後・択捉から南は沖縄・石垣島…日本列島全国津々浦々…」と全国に向けて放送しているかのような力強い言葉でタイトルコールを行っていました。これは、関西ローカル番組でありながら、全国への発信力を誇示する上岡の意気込みが感じられる演出でした。

上岡と共に番組を支えたのは、桂雀々や水谷ミミら個性あふれるパーソナリティたちです。彼らが織りなす掛け合いや、絶妙なバランスのトークは、リスナーを魅了しました。また、番組には放送作家である佐伯勝や、過去には吉田清、本多正識らがクイズの出題者として参加し、番組に彩りを添えていました。アシスタントも中西ふみ子、坂上恭子、キャッシー、永井由紀子と、様々な個性豊かなアナウンサーが務めています。

リスナー参加型の番組

『どんどんサタデー』の特徴は、リスナーとの強い結びつきです。番組ではリスナーからのハガキを基にフリートークが展開され、リスナー参加型のコーナーも多数ありました。リスナーは番組内では「ドンドコリスナー」と呼ばれ、親しみを込めて番組に参加していました。

さらに、番組はリスナーによるスタジオ見学を放送中に許可していたという、非常に珍しい試みも行っていました。リスナーとパーソナリティとの距離が非常に近かったことが伺えます。

番組の裏側と上岡龍太郎の芸能生活

番組はラジオ大阪の本社スタジオを拠点に放送されていましたが、阪神百貨店梅田本店に設置されていたサテライトスタジオも活用されていました。1993年には本社移転を記念して、閉鎖されていたサテライトスタジオからの生放送を一日限定で復活させるというサプライズもありました。

上岡龍太郎は、土曜日の午前中に放送されていた関西テレビの番組『ノックは無用！』にも出演しており、ラジオ番組の生放送に間に合わせるために、自動車でラジオ大阪本社に急行する日々を送っていたそうです。放送開始時間までに間に合わない場合、他の出演者によるフリートークで対応するなど、臨機応変な対応も番組の特色でした。また、昼食をとる時間がない上岡への配慮から、出演者全員で放送中にランチタイムを設けていたというエピソードも残っています。

上岡は『どんどんサタデー』終了後、2000年に芸能界を引退。2023年に81歳で亡くなりました。ラジオ大阪は開局65周年記念番組の中で、『どんどんサタデー』最終回の録音音源を放送し、上岡への弔意を示しました。

番組の系譜と影響

『どんどんサタデー』は、1967年から放送されていた『週末です　遊べ半ドン! 歌え半ドン!』シリーズをルーツとしています。上岡は当初ゲスト出演者として参加していましたが、後にパーソナリティとして番組を牽引するようになりました。

番組は当初、スポンサー付きの箱番組や競馬中継なども放送していましたが、徐々にリスナーからのハガキを軸とした構成へと変化していきました。この変化には、営業部門との葛藤もあったそうです。

番組は、大阪拘置所の受刑者から届いた手紙をきっかけに『都島の夜』という曲が生まれたり、関西テレビの番組とサイマル放送を行ったりと、様々なエピソードを残しています。また、個人情報保護法制定以前の放送だったため、当選者の個人情報を全て読み上げるという独特の演出も行われていました。

『どんどんサタデー』のヘビーリスナーであった戸田学氏は、後に上岡のブレーンとなり、作家・映画評論家として活躍しました。上岡の自伝『上岡龍太郎　話芸一代』にも、この番組への深い思い入れが綴られています。さらに、お笑いコンビ「DonDokoDon」の名前の由来もこの番組です。TBSラジオの『上岡龍太郎のサタデー・ぴぷ!』も、放送時間帯が重複していたことから、この番組を意識した番組構成になっていたというエピソードも残っています。

『どんどんサタデー』は、上岡龍太郎をはじめとするパーソナリティたちの魅力、そしてリスナーとの強い絆によって支えられた、唯一無二のラジオ番組でした。その存在は、ラジオ大阪の歴史、そして関西のラジオ文化に大きな足跡を残しています。

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