歌謡ドッキリ大放送!!

「歌謡ドッキリ大放送!!」（かようドッキリだいほうそう）は、1980年代にテレビ朝日系列で放送された人気の音楽バラエティ番組です。1980年 4月20日から1986年 10月26日にかけて、毎週日曜日の午後帯（13時45分から14時55分）に放送されました。関口宏がメイン司会を務め、当時の歌謡界を彩る人気歌手をゲストに迎えて、単に歌を披露するだけでなく、様々な趣向を凝らした企画コーナーを展開したのが特徴です。

番組の根幹には、そのタイトルにもある「ドッキリ」の要素が貫かれており、ゲストや時には視聴者を驚かせたり、笑わせたりする仕掛けが盛り込まれていました。番組の収録は毎週木曜日に行われていたといいます。

出演者

メイン司会を務めたのは俳優・タレントの関口宏です。番組開始当初から最終回まで司会を担当しました。歴代のアシスタントとしては、シェリー（1980年4月 - 1982年3月）、高見知佳（1982年4月 - 1983年3月）、白石まるみ（1983年4月 - 1984年3月）、南美希子（当時テレビ朝日アナウンサー、1984年4月 - 1985年3月）、鳥越マリ（1985年4月 - 1986年3月）、野沢直子（1986年4月 - 番組終了）が務めました。また、テレビ朝日アナウンサーだった保坂正紀も司会陣に名を連ねています。番組を盛り上げるレギュラー出演者として、せんだみつお、小松政夫、片岡鶴太郎などが名を連ねていました。

主なコーナー

ゲストの歌唱コーナーに加え、番組は主に以下の企画コーナーで構成されていました。

ちびっ子ドッキリインタビュー
番組の冒頭を飾るコーナーでした。毎回50人の子供たちがスタジオに集まり、ゲストの歌手に純粋で時には核心を突くような質問を投げかけました。コーナー開始時にスタジオセットのシャッターが開き、終了時にはブザーとともにシャッターが閉まるという演出が印象的でした。

スタードッキリルーレット
ゲストが様々なゲームに挑戦するコーナーです。「ゲームルーレット」と「ゲストルーレット」の二つのルーレットを使って、挑戦するゲームと参加者が決められました。中には他の人気番組のパロディゲーム（例：TBSの『ぴったしカン・カン』をもじった「ぴったしカンカン踊り」）や、画鋲を付けた羽子板で風船を突くといった、少しハラハラするようなゲームもありました。当初は小松政夫が進行を務めていましたが、後にせんだみつおが担当し、「せんみつのダブルルーレット」と題して行われるようになりました。

スタードッキリ日記
ゲストの一人が、スタッフが作成した虚実入り混じる「奇妙な日記」を朗読するコーナーです。日記の文章には、当時のヒット曲の歌詞の一部が巧みに織り交ぜられており、聴く者を楽しませました。そして、日記の締めくくりには、ザ・ドリフターズの有名なフレーズ「ほんとにほんとにほんとにほんとに、ごくろうさん」が必ず使われるのがお約束でした。特に、和田アキ子の登場回では、日記のフレーズにゴジラの鳴き声「ガオー！」が挿入されるのが定番となっており、和田本人の前でも披露されました。

コマっちゃんのごきげんよう
レギュラーの小松政夫が、独特の眼鏡をかけ着物姿で、映画評論家の淀川長治氏風のキャラクターに扮して進行するコーナーです。一人のゲストを招いてトークを行った後、コーナー後半ではゲストも参加する踊りの時間となりました。この踊りの形式は番組の前期と後期で変化しました。
前期: 突如「毎度、お騒がせいたしております。こちらはタコフン音頭でございます」というアナウンスと共に暗転し、チアリーダーや男児（後にはタコの着ぐるみも）が登場。「タコフン音頭」に合わせてゲストと小松が一緒に歌い踊りました。この際、小松は着物を脱いで赤い法被と褌姿となり、ユニークな口上を述べていました。
後期: 保坂アナウンサーが登場した後、小松がいったん姿を消し、後にロックンローラーの扮装で再登場。「エライあんたのロックンロール」をゲストと歌い踊りました。歌の途中に「パンツしたままウ○チした！」といった刺激的な台詞が挿入され、週によっては別の台詞に差し替えられることもありました。いずれの時期も、踊り終えたゲストには、小松から「表彰状、〇〇殿、あんたはエライ！」という言葉と共に表彰状が手渡されました。

* スタードッキリ本人クイズ
1981年11月頃に始まったコーナーで、保坂正紀アナウンサーが司会を務めました。ゲストが一人ずつ、『クイズタイムショック』のような形式でクイズに挑戦しました。前期は12問、後期は10問が出題され、正解数の多いゲストには天井から大量の紙吹雪が降り、海外旅行などの賞品が贈られました。一方、正解数が少ない場合は「きつ〜い一発」と称される、ナレーターからの厳しい質問に答える罰ゲームが課せられました。前期のセットには、不正解時にゲストの頭上に模造ハンマーが落下する、視覚的なドッキリ演出もありました。

ネットワークと特記事項

本番組は制作局のテレビ朝日系列局を中心に、番組販売の形で全国にネットされました。テレビ朝日系列局がない地域では、他系列局が購入し時差ネットで放送されることもありました。特に近畿地方においては、当時のテレビ朝日系列局である朝日放送ではなく、KBS京都、サンテレビ、テレビ和歌山といった周辺の独立放送局が購入して放送するという特殊な状況がありました。

番組にはいくつかの記憶に残るエピソードがあります。第1回放送では、前番組『笑アップ歌謡大作戦』の司会だった山城新伍に関するユニークな演出で幕を開けました。また、1986年4月に逝去された岡田有希子さんが、亡くなる直前の4月4日に収録され、追悼テロップが付されて4月20日に放送された回が、結果的に彼女の最後のテレビ出演となりました。後年、テレビ朝日の特別番組などで本番組の映像が使用される際、特に「ちびっ子ドッキリインタビュー」の子供たちの映像には、肖像権への配慮から顔にぼかし処理が施されたケースもあれば、後にぼかしなしで放送されたケースもあります。さらに、1980年代の歌謡曲映像として、テレビ朝日の懐メロ関連番組で本番組の歌唱シーンが度々使用されています。

「歌謡ドッキリ大放送!!」は、歌と笑い、そして予想外の仕掛けで、多くのお茶の間を楽しませた1980年代を代表する音楽バラエティ番組の一つと言えるでしょう。

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