正しい相対性理論

『正しい相対性理論』：再構築と創造の融合

2011年4月27日、相対性理論のアルバム『正しい相対性理論』がcommmonsとみらいrecordsよりリリースされました。当初は3月23日発売予定でしたが、東北地方太平洋沖地震の影響により発売が延期されました。

このアルバムは、3曲の新曲と、国内外の著名アーティストによる既存曲のリミックスから構成されています。コンセプターであるやくしまるえつこの言葉にあるように、新曲、再構築された既存曲、そしてリミックスが、同等の価値を持って共存する作品となっています。

新しい解釈、無限の可能性

収録曲のタイトルは全て記号と数字で表現されています。これらは、おそらく楽曲のモチーフや相対性理論の略称（STSRと推測される）など、何らかの頭文字を表していると考えられます。

リミックスにおいては、各アーティストに複数の楽曲素材と新しい音素材が提供され、既存曲のイメージを大きく変え、新たな解釈が加えられています。例えば、ペペロンチーノ・キャンディのリミックスにはマシュー・ハーバートが参加し、ごん狐の朗読を元にした大友良英によるリミックスなど、楽曲ごとに個性的なアレンジが施されています。

参加アーティストは、マシュー・ハーバート、大友良英、クリスチャン・フェネス、菊地成孔、坂本龍一、Buffalo Daughter、アート・リンゼイ、鈴木慶一、スチャダラパー、小山田圭吾など、音楽性の異なる多彩な面々が集結。それぞれのアーティストが相対性理論の楽曲にどのような解釈を加えるのか、聴く者の想像力を掻き立てる作品です。

物理的な実験性、そしてアートワーク

アルバムには「赤と緑のチェックシート」が封入されており、予約特典として購入店舗によって異なる箔押しの「正しい赤鉛筆」（赤、緑、銀、黒、白）が付属していました。また、ライブ会場限定でスペシャルリミテッドアナログ盤も販売されていました。

これらの細部にもこだわりが感じられ、音楽だけでなく、ビジュアル面においても実験的でアート性の高い作品となっています。楽曲の再構築という音楽的な実験と、物理的な媒体や特典における実験性が相乗効果を生み、リスナーに多角的なアプローチを試みる作品です。

楽曲リスト

以下に、収録曲と参加アーティスト、元ネタとなった楽曲を列挙します。

Q/P (STSR): ティカ・α
QJPCAM (STSR / Matthew Herbert): ペペロンチーノ・キャンディ
QGKGAO (STSR / Otomo Yoshihide): ごん狐（朗読：やくしまるえつこ）
QSMJAF (STSR / Fennesz): 四角革命
QHPMAS (STSR / SPANK HAPPY): (恋は)百年戦争、マイハートハードピンチ
QMSMAS (STSR / Ryuichi Sakamoto): ミス・パラレルワールド
Q&Q (STSR): 真部脩一
QSSGAB (STSR / Buffalo Daughter): 元素紀行
QVSCAA (STSR / Arto Lindsay): バーモント・キッス
QMCMAS (STSR / Keiichi Suzuki): ムーンライト銀河、シンデレラ、ミス・パラレルワールド
QLOTAS (STSR / SCHADARAPARR): テレ東
QKMAC (STSR / Cornelius): ミス・パラレルワールド
* (1＋1) (STSR): ティカ・α

『正しい相対性理論』は、単なるリミックスアルバムではなく、既存楽曲の再解釈を通して、新たな音楽表現の可能性を探求した、実験的で独創的な作品と言えるでしょう。相対性理論のこれまでの楽曲を新たな視点から見直し、再発見できる、音楽ファンにとって魅力的な一枚です。

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