正山小種

ラプサン・スーチョンとは

ラプサン・スーチョン（Lapsang souchong、正山小種）は、紅茶の一種で、その最大の特徴は、松葉で燻して着香された非常に強いスモーキーな香りです。この独特な香りは、好みが分かれるものの、一度ハマると病みつきになるという愛好家も少なくありません。

名称について

中国語では正山小種（Zhèngshān xiǎozhǒng）または立山小種（Lìshān xiǎozhǒng）と呼ばれます。正山（チェンシャン）や立山（ラプサン）は、武夷山の俗称です。現地では、半発酵茶である岩茶と区別して、単に紅茶として扱われることもあります。

小種（souchong）は、元々は岩茶の原料となる茶樹の一種を指す言葉でしたが、後に紅茶の等級を表す言葉としても使われるようになりました。

生産地と製法

ラプサン・スーチョンの主な産地は、中国福建省武夷山市周辺です。この地域で生産された茶葉を、松葉を燃やした煙で燻すことで、独特のスモーキーな香りが生まれます。

同じ製法で、生産地が異なる外山小種（Tarry Souchong）という種類も存在します。また、日本では、ウィスキー樽材や桜材を燃料に使用した、燻香和紅茶である富士山小種（フジサンスーチョン）が静岡県で生産されています。

流通

生産されたラプサン・スーチョンのほとんどはイギリスへ輸出され、日本もイギリスから輸入しています。そのため、中国[[茶]]として扱われない場合もあります。

ラプサン・スーチョンの歴史

ラプサン・スーチョンの発祥には、紅茶の成立に関わる伝承があります。武夷山の桐木村では、古くから岩茶が作られていましたが、17世紀の明代から清代への移行期に、軍隊が村に駐屯したため、茶の製造が一時中断しました。軍隊が退去した後、茶葉乾燥の効率を高めるために松を燃焼させたところ、茶葉に香りが定着し、これがラプサン・スーチョンの始まりとなったと言われています。

また、軍隊の駐屯によって茶葉の発酵が進み、これが最初の紅茶になったという説もありますが、紅茶の成立については未だ諸説あり、明確な結論は出ていません。

ラプサン・スーチョンの特徴

ラプサン・スーチョンの最大の特徴は、その独特のスモーキーな香りです。この香りは、松葉の燻香と、正露丸の主成分であるクレオソートの香りが似ていることから、正露丸に例えられることもあります。また、渋みも感じられます。

硬水で淹れると、風味が軽くなる傾向があります。この独特の香りが、好き嫌いを分ける要因となりますが、熱烈なファンも多い紅茶です。

ラプサン・スーチョンは、そのまま飲むこともできますが、他の茶葉にアクセントとして少量加えるという飲み方も一般的です。

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