正平地震

正平地震について

正平地震（しょうへいじしん）は、室[[町時代]]前期、1361年に発生した大地震である。北朝の元号を取った「康安地震（こうあんじしん）」とも呼ばれるが、学術的には南朝の元号に基づく「正平地震」が多く用いられている。この地震は南海トラフ沿いからの地震と考えられており、当時の文献にも広く記録されている。

地震の記録

信頼性の高い史料として、当時の日記である『後愚昧記』や『忠光卿記』、さらには『斑鳩嘉元記』などが挙げられる。これらの文献には、地震により畿内や熊野地方での被害が詳細に記録されている。正平16年6月24日寅刻に大きな地震が発生し、多くの堂塔が破壊される様子が描写されている。

具体的には、摂津四[[天王寺]]、奈良の唐招提寺、薬師寺などの建物が倒壊したとされ、特に法隆寺では金堂が崩れ、東大門や伝法堂に損傷が見られた。また、地震前後には異常気象も見られ、冬に見られる寒さや降雪が確認されており、これも天候の不安定さを示唆している。

前震・余震と被害

地震の記録によると、本震の前後に京都や大和で強い揺れがあったことが記されている。これらは「前震」と呼ばれるもので、後に本震が続いたと考えられている。また、正平16年の地震に続いて、何度か余震が発生したことも史料に確認されている。

例えば、正平16年7月4日には再び大きな地震があり、京都での地震の頻発が記録されている。地震の被害は建物だけではなく、津波による根本的な影響も大きかったとされており、治安を脅かす要因にもなった。

津波の襲来

法隆寺の文書には、安居殿御所の西側まで津波が押し寄せたという記録が残されており、これは当時の人々にとって大きな驚異であった。また、難波浦では地震の約1時間前に潮が引き、干上がった海底から魚を拾おうとした漁師たちが、突如襲来した津波によって多数の犠牲者を出したという悲劇的な出来事も報告されている。

地震の科学的考察

大森房吉や今村明恒らは、正平地震を南海トラフに関連する大規模な地震と位置づけて考察している。震源域は奈良から大阪湾にかけて広がっているとされ、過去の地震とも関連がある可能性が指摘されている。発掘調査により同時期に東海道でも震源域が存在していた可能性が見いだされ、地震のメカニズムを解明する手がかりとなっている。

結論

正平地震は1361年という歴史的な年に発生し、当時の社会へ多大な影響をもたらした。多くの史料にその記録が残ることから、地震の研究は今後も続けられる必要があり、再発を防ぐための教訓ともなるべき大切な出来事である。

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