正映マキノキネマ

正映マキノキネマの歴史

正映マキノキネマ（しょうえいマキノキネマ）は、1932年に京都で設立された映画製作会社であり、高村正次と立花良介が「マキノ再興」を目指して設立しました。この映画会社の誕生は、過去のマキノ・プロダクションに由来し、かつての栄光を再現することを目指すものでした。

設立の背景

設立は1932年2月であり、高村と立花は、旧マキノ・プロダクションが有していた御室撮影所を使用しました。この撮影所の管理責任者には、牧野省三の妻である知世子が就任したものの、数日後の2月4日に原因不明の火災によってほぼ全焼してしまいました。事務所や工作所、食堂や衣裳部屋が残されたものの、撮影の活動に支障をきたしました。

短命の映画会社

火災後、急きょバラックスタジオが設けられ、牧野省三の長男であるマキノ正博監督が映画『二番手赤穂浪士』などを撮影しました。しかし、適切な配給網が未整備だったため、資金はすぐに枯渇し、わずか2か月で解散を余儀なくされました。解散前に『二番手赤穂浪士』の配給権が日活に売却され、その収益は従業員への解散手当てに充てられました。

その後、残余の映画作品も大衆文芸映画社との提携を通じて公開され、特に『喧嘩道中記』や『仇討兄弟鑑』は、国際映画社によって配給されることとなりました。すべての作品はサイレント映画だったため、当時の映画文化における重要な位置付けを持っていました。

スタッフとキャスト

正映マキノキネマの背後には多くの才能が集まっていました。監督陣にはマキノ正博、堀江大生、久保為義、後藤岱山、福西譲治が名を連ね、脚本には比佐芳武や社喜久江が携わりました。俳優陣には嵐幸三郎、市川米十郎、鈴村京子など、当時の人気俳優が多く参加していました。これらの人々は、短い期間ではありましたが、映画製作への情熱を持って集結しました。

その後の展開

解散後の1932年、設立されたのは宝塚キネマ興行で、高村正次が再び映画製作に関与することになりました。この新たな映画会社では、正映マキノキネマのスタッフやキャストが再結集し、新しい作品の製作が進められました。これにより、正映マキノキネマでの経験がその後の映画産業にも影響を与えることとなりました。

結論

正映マキノキネマは、その設立から解散に至るまで短期間ではありましたが、映画業界における重要な試みの一つといえるでしょう。この会社の活動は、映画製作の新たな可能性を示した事例として、今後も映画史において語り継がれていくことでしょう。彼らの作品やその精神が、後に続く映画製作者たちに与えた影響は計り知れません。

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