正木ゆう子

正木 ゆう子（まさき ゆうこ）

正木ゆう子は、1952年6月22日に熊本県熊本市で生まれた日本の俳人で、本姓は笠原です。彼女の詩作は、現代女性の多様なライフスタイルを反映し、同世代の女性俳人たちの先駆けとして活躍しています。

学歴と初期の活動

彼女は熊本県立熊本高等学校を経て、お茶の水女子大学を卒業しました。大学在学中、1973年に兄の正木浩一に誘われて俳句の同人誌「沖」に入会し、能村登四郎に師事しました。さらに福永耕二や坂巻純子といった他の俳人たちとも交流を持ち、彼女の詩作の基盤を築いていきました。

大学卒業後は広告会社に勤務し、1977年には結婚しました。彼女の俳句活動は仕事と家庭の両立の中で続けられました。1986年には、初めての句集『水晶体』を私家版として発表しました。

俳句の進展と影響

俳句活動の中での彼女の重要な出来事は、1991年に兄・浩一が癌で亡くなったことです。それに続く1992年には、兄の遺句集『正木浩一句集』を編纂、刊行することで、高い評価を受けました。

その後の彼女の作品も続々と発表され、1994年には第二句集『悠 HARUKA』を出版。1996年からは「紫薇」という俳句と連句の同人誌に参加し、新たな表現の幅を広げます。続いて、2000年には俳論集『起きて、立って、服を着ること』が第14回俳人協会評論賞を受賞し、2001年以降は登四郎の後を次いで読売新聞俳壇の選者となります。

特に際立った功績は2003年の第三句集『静かな水』での芸術選奨文部科学大臣賞受賞です。さらに、2009年には第四句集『夏至』を、また2017年には第五句集『羽羽』を発表し、前者での功績が認められたことも含め、多くの賞を受けるまでに至りました。

彼女は、詩作を通じて現代社会の女性の心情や状況を捉え、それを巧みに言葉として表現しています。代表的な句としては、初句集『水晶体』の「いつの生（よ）か鯨でありし寂しかりし」、第二句集『悠 HARUKA』にある「かの鷹に風と名づけて飼ひ殺す」、第三句集『静かな水』の「水の地球すこしはなれて春の月」などがあります。これらの作品は、彼女の深い感受性と独自の視点が反映されています。

最近の功績と受賞歴

2019年には紫綬褒章を受章し、さらに2024年には第六句集『玉響』が詩歌文学館賞を受賞する予定です。

著書一覧

1. 水晶体 - 句集（私家版）
2. 起きて、立って、服を着ること - 俳論集（深夜叢書社、1999年）
3. 静かな水 - 句集（春秋社、2002年）
4. 現代秀句 - （日本秀句別巻、春秋社、2002年）
5. 正木ゆう子集 - （邑書林、2004年）
6. 夏至 - 句集（春秋社、2009年）
7. 十七音の履歴書 - 俳句をめぐるヒト、コト、モノ（春秋社、2009年）
8. ゆうきりんりん - 私の俳句作法（遊季、春秋社、2009年）
9. 一句悠々 - 私の愛唱句（春秋社、2009年）
10. 羽羽 - 句集（春秋社、2016年）
11. 玉響 - 句集（春秋社、2023年）

メディア出演

2016年度にはNHKの俳句番組で選者を務めるなど、メディアにも積極的に登場しています。彼女の豊かな表現力は、俳句界においても重要な位置を占めています。

もう一度検索