春秋社

株式会社春秋社の概要

株式会社春秋社（しゅんじゅうしゃ）は、日本における著名な出版社で、多様な分野の書籍を出版しています。1951年に設立された同社は、特に仏教をテーマにした宗教書、哲学、思想、心理、文学、音楽などに関する専門書や入門書に力を入れていることが特徴です。また、音楽関連の書籍としては『世界音楽全集 ピアノ篇』シリーズが知られ、1949年には編集者井口基成による校訂版が最初に発行されました。

所在地

春秋社の本社は、東京都千代田区外神田二丁目18-6に位置しています。また、同社の倉庫は東京都江戸川区西瑞江五丁目4-8にあります。

沿革

春秋社は1918年に創業され、創設者は神田豊穂や古館清太郎、加藤一夫などの著名な文学者たちです。創業当初、神田がわんや書店で編集長を務めていた頃、古館と共に独立を果たす決意を固めました。直木三十五らの協力もあり、東京市日本橋区に最初の事務所を設立しました。

春秋社の初の出版物となる『トルストイ全集』は、多くの著名な編集者や翻訳者によって支えられました。この書籍は新聞広告を通じて広く宣伝され、予約が殺到。初版500冊に対し、3000冊以上の予約が入るという反響があり、これにより春秋社は発展の基盤を築きました。

1919年には新たに神田神保町に事務所を移し、1921年には西田天香の『懺悔の生活』や中里介山の『大菩薩峠』が大ヒットを記録しました。また、昭和の初期における円本ブームの波に乗り、春秋社は『世界大思想全集』を発刊し、多大な利益を得ることに成功しました。これを手に入れた利益は、自社ビルの建設や伊東町に別荘を設ける原資となりました。

1935年には株式会社として再編成され、1941年には創設者の神田豊穂が他界。1945年の戦争による苦難を乗り越え、息子の神田龍一が社長となった後、1947年には外神田に社屋を移転し、出版活動を再開しました。神田龍一は、一橋大学出身の戦友を入社させ、同大学の教科書類の出版も手掛けることになります。

1976年には新しい社屋を落成させ、業務の充実を図りました。

創業者・神田豊穂

神田豊穂（1884年 - 1941年）は茨城県出身で、麻布中学校を卒業後、わんや書店に入社しました。1918年に独立し、『能楽雑誌』の編集に携わりながら、文学的活動に尽力しました。彼は中里介山と親しい関係にあり、能楽の研究でも知られました。晩年には失明しますが、彼の精神は息子の神田龍一に引き継がれていきます。

主な発行物

春秋社では、多くの著名な作品が刊行されています。代表的なタイトルには以下のものがあります：

• - トルストイ全集
• - ドストエフスキー全集
• - 懺悔の生活（西田天香著）
• - 日本歌謡集成（高野辰之編）
• - 大菩薩峠（中里介山著）
• - 世界大思想全集
• - 世界音楽全集
• - 鉄道交通全書
• - 日本歴史叢書
• - 現代経済学全集
• - 現代会計学全集
• - ハイエク全集
• - 中村元選集
• - 道元禅師全集

このように、春秋社は多様なジャンルで重要な出版物を生み出し、顧客に深い知識と文化的体験を提供してきました。

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