武器弾薬員

航空自衛隊における武器弾薬員の役割

武器弾薬員は、航空自衛隊において、戦闘機の兵装に関する専門的な知識と技術を有する職種です。彼らは、各戦闘航空団の装備隊や補給隊に所属し、戦闘機の兵装搭載、弾薬や航空電子機器（アビオニクス）の管理、整備など、多岐にわたる業務を担当しています。

概要

武器弾薬員は、部内では「アーマー」や「武器」と呼ばれ、各戦闘航空団の武器小隊に所属しています。主な業務は、戦闘機への兵装搭載、弾薬、チャフ・フレア、機関砲などの点検・整備です。兵装の搭載作業や弾薬管理だけでなく、コックピット内での発射回路や投棄回路の点検、機関砲の整備後の試運転など、精密な作業も行います。

ランチャーやパイロンの整備など、作業内容は多岐にわたり、高い専門性が求められます。そのため、武器弾薬員の養成学校である第1術科学校での教育期間は、基礎課程を含めて約4ヶ月と、全課程の中で2番目に長い期間となっています。また、希望に応じて大型自動車運転免許、高圧ガス、不発弾処理（EOD）などの資格を取得することも可能です。

編成

武器弾薬員は、各戦闘航空団の武器小隊に配置された後、以下のいずれかの分隊に配属されます。数年単位で分隊を異動することが一般的ですが、特定の分隊に固定されている隊員もいます。

列線分隊: 主に航空機への兵装搭載作業を担当し、他の分隊に比べて人数が多いです。
支援分隊: ランチャーやパイロン、機関砲などの分解整備を担当し、非常に細かい作業が多く、職人気質の隊員が多いと言われています。
弾薬分隊: 航空機搭載用のミサイルや機関砲弾の整備を担当し、「弾作（だんさく）」と呼ばれることが多いです。
標的分隊: 一部の基地にのみ存在し、曳航標的などの整備を担当します。

上記の他、小隊本部や総括班、隊内補給などの事務的な仕事を行う部署や、車両器材などの整備を行う部署に配属されることもあります。また、一部の隊員は補給処や教育部隊（第1術科学校）に配属されることもあります。以前は新隊員の補給処や教育部隊への配属が多かったのですが、現在は実戦部隊での経験を積ませるため、新隊員の配属はごく少数に限られています。

その他・特徴

武器弾薬員は、航空自衛隊の整備職種の中でも、航空祭などで一般の人々が目にする機会が多い職種です。航空機のエンジンが作動している状態で整備や点検作業を行う数少ない職種でもあります。有事の際には、迅速に戦闘機への兵装搭載を行う必要があり、非常に重要な役割を担っています。

ミサイルなどの誘導装置や爆薬の威力は極秘情報であるため、親族に外国人がいる場合は配属を希望することができません。また、外国人と結婚したことで配置転換になった隊員もいます。部内では、体罰による指導が多いことで知られていますが、これは危険物を扱う職種であるため、ミスが命や国防の危機に直結するという背景があります。

関連作品

武器弾薬員が登場する作品として、以下のものが挙げられます。

ガメラ2 レギオン襲来（1996年）: F-1に弾薬を搭載するシーンで、三沢基地の武器小隊所属の隊員が登場します。
ミッドナイト・イーグル（2007年）: 冒頭のスクランブル発進のシーンで、小松基地の武器小隊所属の隊員がF-15Jのアーミングを実施します。
* ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり（2014年 漫画版）: 5巻で、F-4EJ改による帝都空爆に際して、340kg普通爆弾をリフトトラックで搭載するシーンがあります。

その他

お笑いコンビ「フルーツポンチ」のメンバーである亘健太郎さんは、元武器弾薬員で、三沢基地の武器小隊に所属していました。

このように、武器弾薬員は、航空自衛隊の安全保障に欠かせない重要な存在です。

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