武器科 (陸上自衛隊)

陸上自衛隊 武器科の詳細解説

武器科は、陸上自衛隊において火器、車両の整備、および不発弾処理を専門とする職種です。職種標識の色は緑で、陸上自衛隊の各部隊を後方から支える重要な役割を担っています。

概要

武器科の隊員は、主に各方面隊に配置されている方面後方支援隊や、補給処に所属しています。かつては方面隊直轄の武器隊や師団隷下の武器大隊が編成されていましたが、後方支援体制の変革により、現在では方面後方支援隊の整備大隊や整備中隊がその役割を担っています。2009年度末には、全ての師団・旅団で後方支援体制の改編が完了し、武器という名称を持つ部隊は、陸上自衛隊武器学校や武器教導隊（土浦駐屯地）のみとなりました。

後方支援体制の機能別改編によって新設された直接支援大隊や全般支援大隊補給隊は、複数の職種が連合した部隊であるため、隊旗や部隊章の色は武器科の緑色から、混成部隊を表す藍色に変更されています。そのため、今日では緑色の隊旗を持つ部隊はごくわずかとなっています。

方面後方支援隊隷下の全般支援大隊には整備中隊や補給中隊が編成されており、これらの部隊は主に武器科の隊員で構成されています。彼らは、管轄地域の駐屯地に駐屯する方面直轄部隊に対して、補給や整備業務を担当しています。

武器科部隊の一覧

武器科、またはこれに類似する部隊には、以下のようなものがあります。

高射直接支援（中・大）隊
不発弾処理隊
弾薬大（中）隊
武器教導隊
陸上自衛隊武器学校

方面後方支援隊

各方面隊には、1等陸佐が指揮する方面後方支援隊が置かれています。方面後方支援隊は、隊本部の他、補給部隊、弾薬部隊、全般支援部隊、職種別の直接支援部隊（普通科、対舟艇対戦車、特科、高射、施設、通信）、方面輸送隊、および不発弾処理隊などで構成されています。

高射直接支援（中・大）隊

高射直接支援部隊は、高射特科部隊を支援する部隊で、以下の部隊が存在します。

第101高射直接支援大隊（北部方面後方支援隊）：第1高射特科団を支援
第1直接支援中隊：第1高射特科群を支援
第2直接支援中隊：第4高射特科群を支援
第102高射直接支援大隊（西部方面後方支援隊）：第2高射特科団を支援
第1直接支援中隊：第3高射特科群を支援
第2直接支援中隊：第7高射特科群を支援
第301高射直接支援中隊（東部方面後方支援隊）：第2高射特科群を支援
第302高射直接支援中隊（中部方面後方支援隊）：第8高射特科群を支援
第303高射直接支援中隊（東北方面後方支援隊）：第5高射特科群を支援

不発弾処理隊

不発弾処理隊は、陸上で発見された不発弾や漂着機雷などの処理を行う部隊で、各方面隊に編成されています。各隊の概要は以下の通りです。

第101不発弾処理隊（第15旅団）：沖縄県を担当
第102不発弾処理隊（東部方面後方支援隊）：東部方面隊管内を担当
第103不発弾処理隊（中部方面後方支援隊）：中部方面隊管内を担当
第104不発弾処理隊（西部方面後方支援隊）：西部方面隊管内を担当（第15旅団担当区域を除く）
中央即応連隊爆発装置処理隊（陸上総隊）：爆発物処理を担当

不発弾処理隊は、1972年に沖縄県で不発弾処理が開始されたことを契機に、1974年に特別不発弾処理隊が編成されたのが始まりです。その後、1993年に第101不発弾処理隊に改編、1994年には第102、第104不発弾処理隊が新編されました。

弾薬大（中）隊

弾薬部隊は、即応予備自衛官を主体として編成された部隊で、有事の際に弾薬の補給を行います。各方面隊の後方支援隊に配置されており、北部方面隊には1個大隊、西部方面隊には2個大隊、その他の方面隊には1個中隊が配置されています。弾薬大隊と弾薬中隊は、それぞれ以下の通りです。

弾薬大隊

第101弾薬大隊（西部方面後方支援隊）
第102弾薬大隊（北部方面後方支援隊）
第103弾薬大隊（西部方面後方支援隊）

弾薬中隊

第301弾薬中隊（東北方面後方支援隊）
第302弾薬中隊（東部方面後方支援隊）
第303弾薬中隊（中部方面後方支援隊）

武器教導隊

武器教導隊は、武器学校隷下の訓練支援部隊で、教育訓練や調査研究の支援を行います。

師団後方支援連隊整備大隊および旅団後方支援隊整備中隊等

陸上自衛隊の各師団には、後方支援連隊が編成されており、その隷下には整備大隊が置かれています。整備大隊は、各種装備品の整備や回収支援を行います。また、各旅団には後方支援隊が置かれており、整備中隊が同様の任務を担っています。

その他の整備中隊等

第1空挺団後方支援隊整備中隊
水陸機動団後方支援大隊第1整備中隊、第2整備中隊

関連部隊の沿革

武器科関連部隊は、時代とともに編成や改編が行われてきました。特に2000年代に入ってからは、後方支援体制の変革に伴い、多くの部隊が改編や廃止、新編を行っています。

廃止された部隊の一覧

過去に存在した部隊としては、以下のようなものがあります。

武器大隊
射撃統制装置修理隊
武器野整備隊
装輪車野整備隊
装軌車野整備隊
火砲野整備隊
武器直接支援隊
通信野整備隊
方面武器隊
武器野整備中隊
高射特科群の野整備部隊
師団武器隊
後方支援連隊武器大隊


これらの部隊は、時代の変化や組織改編に伴い、その役割を終えたり、新たな部隊へと再編されました。

まとめ

陸上自衛隊の武器科は、装備品の整備や不発弾処理など、後方支援における重要な役割を担っています。この記事では、武器科の部隊編成や歴史、関連部隊について詳しく解説しました。武器科の活動は、自衛隊全体の円滑な活動を支える上で不可欠です。

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