武富士ダンサーズ

武富士ダンサーズ：時代を彩ったCMの象徴

武富士ダンサーズは、1991年から2010年まで、消費者金融大手であった武富士のテレビCMに登場した女性ダンサー集団です。その印象的なダンスと音楽は、多くの人々の記憶に深く刻まれています。制作は中央宣興が担当し、ジョー・リノイエの楽曲「SYNCHRONIZED LOVE」に合わせて踊るCMは、当時大きな話題となりました。

歴史

1990年、武富士のCMに初めて「SYNCHRONIZED LOVE」に合わせて女性3人が白いレオタード姿で踊るバージョンが登場しました。翌1991年には、企業イメージCMとして、300人以上のオーディションを経て選ばれた男女14人によるダンサー集団が登場します。当初はハットとジャケットを着用して撮影されましたが、当時の社長である武井保雄の要望により、シルバーのレオタード姿での撮影も行われ、最終的にこちらが採用されました。このCMは、レオタード姿のダンサーたちが「SYNCHRONIZED LOVE」に合わせて踊るという斬新なスタイルが話題となり、問い合わせが殺到しました。なお、女性3人バージョンのCMも並行して放映されていました。

1998年には、メンバーを15人に増やし、新たな構成で新バージョンのCMが放送されました。このCMは以前にも増して大きな反響を呼び、様々なメディアで取り上げられました。また、この年の夏には、ビーチで水着モデルがくつろいでいると、突然音楽が流れ、オレンジ色のビキニ姿のダンサーが登場して踊り出すという別バージョンも制作されました。

2001年には、完全に新しいバージョンが制作されました。オーディションを経て選ばれたプロダンサー12名が、新たなコスチュームと振り付けでCMに登場しました。しかし、2003年に武富士の不祥事（ジャーナリスト宅盗聴事件）が発生し、会長の武井が逮捕されたことを受け、CMは放送自粛となりました。当時、愛知県の小学校では、この曲を4年生の学習に取り入れていましたが、事件発覚後に保護者からの抗議を受け、使用曲が変更されました。

2005年には、4度目のCMが制作されました。オーディションで選ばれた8名の新メンバーが、TRFのSAMらによる全く新しい振り付けでダンスを披露しました。しかし、消費者金融のCMに関する規制が厳しくなったため、このCMはテレビでは放送されず、劇場やネット配信での公開となりました。

2010年9月28日、武富士が会社更生法を申請し、倒産しました。これにより、翌週の10月5日には、武富士CMの制作をすべて担当していた中央宣興も破産を申請し、武富士ダンサーズは事実上解散となりました。

その後、武富士の事業を譲り受けた日本保証が、2012年に新たなダンスCMを放送しましたが、衣装や曲は異なるものであり、武富士ダンサーズとは別物です。

パロディ

武富士ダンサーズのCMは、その高い認知度から多くのパロディやオマージュを生み出しました。

『北野ファンクラブ』：たけし軍団が「シンクロナイズド・ラブ」の替え歌に合わせてブリーフ姿で踊るショート映像が制作されました。
『笑う犬の冒険』：「センターマン」のコントで、原田泰造演じるセンターマンが、女性ダンサーを従え、本CMのパロディダンスを披露しました。
KINCHO 虫よけキンチョール：蚊の出やすい竹藪で女性ダンサーが踊るCMが制作され、BGMは「SYNCHRONIZED LOVE」に似たメロディが使われました。
練馬大根ブラザーズ：作中に、貸金業マネーマンとマネーダンサーズが登場し、ATMを担いで踊りながらお金を貸すという設定でした。
So-net|so-net：登美丘高校ダンス部による精巧なリメイクが制作され、「SYNCHRONIZED LOVE」の原曲が使用されました。
ハリガネロック：持ちネタとして、「ダンサーは借金を返せない人たちが集められ、見せしめとして踊らされている」という都市伝説が語られました。

武富士ダンサーズは、CMという枠を超え、社会現象として多くの人々の記憶に残る存在となりました。その華やかなダンスと音楽は、時代を象徴するアイコンとして、これからも語り継がれていくことでしょう。

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