武州原谷駅

武州原谷駅の概要

武州原谷駅（ぶしゅうはらやえき）は、埼玉県秩父市大野原にあり、秩父鉄道秩父本線の貨物駅として重要な役割を果たしています。この駅は、かつて頻繁に貨車の入替作業が行われていた場所であり、私鉄の中でも特に貨物取扱量が多い秩父鉄道の象徴とも言える存在です。

駅の役割と特徴

武州原谷駅は、秩父太平洋セメント（太平洋セメントグループ）の秩父工場に隣接しており、その専用線が直結しています。群馬県に位置する叶山鉱山から、総延長23キロメートルに及ぶベルトコンベアを通じて石灰石が運ばれ、この駅で貨車に積み替えられます。その後、積載された石灰石は三ヶ尻駅（太平洋セメント熊谷工場）へ供給される流れになっています。

駅構内には、貨物列車の入替作業を行うために2両のディーゼル機関車（D203、D304）が常に配置されています。特に、石灰石を満載した貨物列車を出発線に移動させる際、大野原駅側の約10パーミルの勾配を登るためにD304型ディーゼル機関車が補助として機能し、電気機関車を突放する光景は見所の一つです。またかつては、扇町駅と三ヶ尻駅の間で石炭輸送列車も運行されており、熊谷工場が休業する期間中のみこの駅でそのやり取りが行われていました。石炭はクリンカー焼成時に必要な燃料として用いられています。

過去のセメント輸送

かつては隅田川駅など関東地域へ向けて、多くのセメントが輸送されていましたが、自動車輸送の普及に伴い年月を経てその量は減少しました。2006年のダイヤ改正を通じて、セメントの輸送は完全に廃止されました。その結果、武州原谷駅はセメント関連の貨物輸送の拠点としての役割を徐々に縮小することとなりました。

駅の歴史

武州原谷駅は1956年2月5日に開業しました。この日は、秩父セメント第二工場（現在の秩父太平洋セメント秩父工場）の操業開始と重なっています。当時は、貨物輸送のために多くの常備貨車が用意されており、1985年時点では、セメント専用のタキ1900形やホキ3100形などが多数存在しました。

駅周辺の環境

駅の周囲には秩父太平洋セメントの工場があり、荒川が流れています。自然環境と工業地帯が共存する地域として、多くの人々に利用されてきました。

利用状況と隣接駅

武州原谷駅周辺は、秩父鉄道の秩父本線に位置し、隣の駅は和銅黒谷駅と大野原駅です。

まとめ

武州原谷駅は、埼玉県内での貨物輸送において重要な地位を占めており、特に石灰石の輸送において重要な役割を果たしています。また、その歴史や環境は地域に深く根付いており、秩父鉄道の貨物駅の象徴としての地位を今も保っています。

もう一度検索