武松

武松（ぶしょう）について

武松は、中国の古典小説『水滸伝』に登場する代表的なキャラクターで、梁山泊に集う108人の豪傑のうちの一人です。彼は「天傷星」の生まれ変わりとされ、梁山泊では第14位の好漢として知られています。武松の渾名「行者」は、彼が修行者の姿を持つことに由来しています。

外見や性格

武松は体格が大きく、精悍な表情を持つ男で、鋭い目と太い眉が特徴です。また、無類の酒好きで、拳法の使い手としても知られています。修行者姿になる前から強力な武闘家であり、行者としての姿からは2本の戒刀を使った武器を持っています。彼は、打てば響くような豪胆さを持つ一方で、精神的には誠実で情に厚い性格の持ち主であり、義理を重んじる人物です。

数々の活躍

物語の中で、武松はさまざまな活躍を見せます。最初は酒のために役人を誤って殺してしまい、柴進の屋敷にかくまわれることになります。そこで逃げてきた宋江と出会い、義兄弟の契りを結びます。その後、誤解によって殺人犯となった役人が実は失神していたことが分かり、故郷へ帰る途中で人食い虎を退治することで、名声を高めます。

しかし、彼の幸福は長続きしません。兄の武大が嫂の潘金蓮とその情夫・西門慶によって毒殺されてしまいます。武松は兄の死の真相を探るため奔走し、証拠を掴んだ末に仇討ちを果たします。彼はその後自首し孟州に流罪となりますが、意外な展開が待ち構えています。

孟州での試練

孟州に到着後、武松は典獄の息子である施恩に世話になります。しかし、施恩の敵である張団練の配下に目をつけられ、多くの敵が彼に恨みを持つことになり、冤罪を着せられ再度流罪となる事態に直面します。この時、武松は情に深い性格が災いし、様々な敵と対立することになります。

護送中に刺客に襲われ、自分の怒りに任せて復讐を果たすことになりますが、その後は再度逃亡することを余儀なくされました。彼は追手から逃れるために修行者に変装し、最終的には青州二竜山へと向かうことになります。

志を同じくする仲間たち

青州二竜山で、武松は同志たちと共に一大勢力を築きます。後に梁山泊へと加入し、歩兵軍の頭領として数々の戦いに奮闘します。しかし、方臘討伐の際、敵の道士と戦った際に妖術によって片腕を失うという悲劇に見舞われます。最終的には、杭州に残り寺男として最後の時を迎え、80歳で生涯を全うしました。

武松を題材にした作品

武松はその力強いキャラクターから多くの作品に影響を与えています。1982年には香港映画「武松」が公開され、その後も2020年には中国映画「タイガーハンター 水滸外伝」が公開されました。武松の物語は、侠気や正義感、そして人間の不幸と幸運が絡み合った波乱に満ちた生涯を描いています。

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