今井氏

今井氏の歴史

今井氏は日本の氏族の一つで、主に甲斐国を拠点にした清和源氏の流れを汲む武田氏の庶流に位置しています。甲斐国山梨郡のここゐ裏城を本拠とし、15世紀前半に活躍した武田信満の子息、武田信景を祖としています。今井氏の本家は浦今井氏で、戦国時代には国衆としての活動がありました。

永正16年（1519年）から翌年にかけて、甲斐守護の武田信虎に対して反抗した人物として「浦兵庫」が記録されおり、これが浦今井氏の当主である今井信是または彼の子息の今井信元である可能性があるものの、確実性は定かではありません。

同年には、甲斐国の統一を試みた武田信虎と、今井氏や信濃の諏訪氏との連合軍が甲信国境で衝突しました。その結果、今井氏は一時的に降伏しますが、次第に信虎に再度反旗を翻し、河原辺の戦いで信虎軍と激闘を繰り広げました。この戦闘では、今井信元や飯富虎昌、諏訪頼満らが参加した連合軍は800人を超える損失を出し、大敗を喫しました。

敗戦後、今井信元は浦の城（獅子吼城）に立てこもり信虎に抵抗を続けましたが、天文元年（1532年）にはついに城を開城し、信虎に降りました。これにより武田信虎は甲斐国の統一を実現します。その後も今井氏は武田家の一門衆として名を残し、今井信房や今井信甫などの支流が続きました。

甲州征伐と今井氏

天正10年（1582年）、織田・徳川連合軍による武田領への侵攻が行われ、今井信仲は都留郡へ逃げ込み、その後捕らえられて処刑されたとの記録があります。信俊は武田氏の滅亡後、徳川家康に仕官しました。

江戸時代の今井氏

江戸時代になると、今井信俊の子孫は高尾氏を称し、甲州八代郡で領地を持ちながら旗本として存続しました。今井勝澄の子、今井半衛門は徳川二代将軍の徳川秀忠に仕え、寛永9年（1632年）に駿府に移り、駿河今井家として名を馳せました。彼らは江戸時代において徳川家に仕官し続け、二十代の長きにわたって定番与力として活躍しました。

上野国の今井氏

上野国には中原氏の流れを引く今井氏が存在し、文献によれば源義仲の家臣であった今井兼平が活躍した伝承が残っています。彼は義仲の子である木曾義基を匿い、群馬県の地で新たな地縁を築きました。後に自ら築城した箱田城を拠点に、国衆として活躍をしていました。また、清和源氏の新田氏の支族としても今井氏が存在し、新田政氏の子が今井氏を称したりもしました。

その他の今井氏

近江国には宇多源氏佐々木氏の流れをくむ今井氏も存在し、その系統から和泉国の今井宗久・宗薫が出ました。また、近江国の藤原北家系への関連や陸奥国の南部氏、信濃国諏訪氏、武蔵国児玉党、伊予国越智氏など多くの氏族との関連も見受けられます。これにより、今井氏の歴史は多様な背景によって形成されています。

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